2022年7月6日水曜日

フランスの1日の新規感染者数20万人突破

  


 フランスの感染拡大が止まりません。ここ数週間で、1日の新規感染者数は5万人ずつ増加していくという増加の仕方です。1週間で5万人ずつ増加とは・・なかなかえげつない増え方です。

 昨日の1日の新規感染者数が206,554人であったことが発表されても、もうさほど、驚きませんでした。どちらかといえば、「やっぱりね・・」そんな諦めたような気持ちでもあります。それにしても、1週間で55%の増加です。やっぱりね・・とは思っても、やっぱり酷いです。

 1日の新規感染者数が10万人を超え始めたあたりから、政府は公共交通機関や閉鎖空間でのマスク着用を強く推奨することを呼びかけ始めましたが、推奨されただけでは、フランス国民が従わないことは素人の私が見てもわかることです。

 最近、パリのメトロ内では、「マスク着用は義務化はされていませんが、マスク着用は強く推奨されています」とご丁寧にフランス語と英語でアナウンスが入っていますが、メトロ内のマスク着用率は、若干増えたかな?という気もしないことはありませんが、ざっと見て、20人に1人程度だったマスク率は15人に1人くらいになった程度な感じです。

 さすがにワクチンがかなり浸透してはいるので、これだけ毎日、新規感染者が増加しても、パンデミック初期のように、救急車のサイレンがとめどなく聞こえ続けるようなことにはなってはいませんが、さすがに1日20万人ずつ感染者が増加していれば、全ての指標がプラス、しかも、それぞれの数字が王台を超えるタイミングを迎えています。

 一番、懸念される集中治療室の患者数も1,000人を突破(1,004人)(1週間で10.4%増)、入院患者数も17,000人を突破(17,041人)(17%増)、10万人あたりの感染率は、ついこの間1,000人を超えたと思ったら、もう1141人にまで上昇し、100人に一人の感染率が87人に一人の割合までになっています。殊にイル・ド・フランス(パリを中心とした地域)に至っては、すでに1,200人を超えています。

 陽性率(検査をした場合に陽性である確率)は、31.1%、検査をした人の約3人に一人は陽性という驚くべき数字です。

 このフランスのコロナウィルス第7波の拡大にもかかわらず、フランスのパンデミック緊急事態の期限は2022年7月31日に終了する予定であり、新たな「健康監視・安全保障」に関する法律が国会で審査される予定にはなっています。

 しかし、フランスは、これまで、感染状況に応じて、適切に規制を対応させてきましたが、今回は、この事態にもかかわらず、公共交通機関でのマスク着用義務を決定していません。

 公共交通機関でのマスク着用を強く推奨するなどと言っても、もうそんなことは通用しないのは明白なことで、とりあえず少しでも感染を抑える簡単な方法は、義務化して、罰金を課すこと以外にありません。

 ワクチンの追加接種も呼びかけてはいますが、これはもう一度ブースター接種をした人にとっては、さらに追加のワクチン接種はしないという人も多いため、そんなに簡単に浸透する話ではありません。

 これまでのフランスのパンデミック対応は、初期対応など失敗もあったとはいえ、かなり、早急な対応をとってきたと思うし、特に昨年の今頃の夏のバカンス前のヘルスパスの導入などは、かなり強引で驚かされましたが、結果的には、このヘルスパスの導入によって、加速度的にワクチン接種も広まったし、この一筋縄ではいかないフランス国民を壊滅的な被害から救ってきたと思うのです。

 しかしながら、今年2月のウクライナ戦争が始まったあたりから、どうも政府の手綱が緩み始めたことを感じずにはいられません。パンデミックの後遺症(終わってはいないけど)とも考えられる物価の上昇や戦争によりさらに拍車がかかったインフレ対応、そして、大統領選挙、内閣改変と政治的にも他の思惑が先行されているようです。

 そもそも、せっかく公共交通機関でのマスク義務化が浸透していたものをまだウィルスが消滅したわけでもないのに撤廃してしまったことが、そもそもの失敗であったと私は思っています。

 国民にとっては、一度、解放されたものを再び締め付けられるのは、義務化が続くことよりも抵抗があるに違いありません。

 こうなったら、1日も早く早急に取れる罰金、罰則付きの規制をとらなければ、感染は倍々にと増えていくことは避けようもありません。ましてや、これから本格的なバカンスシーズン、昨年はこのバカンス中に感染が拡大することを恐れて「ヘルスパス」がないと身動きできないようなかなり強硬な対策をとったにもかかわらず、何も対策をとらずにグズグズしている政府の意向がまるで理解できません。

 また、今年は、空港や航空会社、SNCF(フランス国鉄)などの公共交通機関のストライキが立て続けに起こっており、ただでさえ人が多く集まるところをさらなる混雑がつくられる事態に至っています。

 このままでいけば、来週には、1日の新規感染者数はさらに5万人増加では済まずに、一気に1日30万人・・なんていうことになっても不思議ではありません。


フランス感染爆発 リバウンド 新規感染者数20万人突破


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