2022年7月17日日曜日

ジロンド県の森林火災とフランス人の災害対応能力

  


 ここのところ、いつテレビをつけても森林火災、森が燃えている映像が流れている気がします。この夏の猛暑の中、フランスの森林火災が、南部、西部を中心にあちこちで発生しています。

 なかでも、先週から火の手がおさまらずに被害を広げているのは、ジロンド県(フランス南西部に位置するフランス本土最大の県)で起こっている森林火災で、最新のデータによると、10,200ヘクタールが焼け、14,100人以上の人々が避難する緊急警戒体制が敷かれています。

 もともとの地域住民に加えて、夏のバカンス期間で、この地域には、多くのキャンプ場もあり、砂丘近くの少なくとも5つのキャンプ場から、6,000人が避難しなければならない大混乱が起こっています。

 この森林火災は同じ地域、数カ所で数回にわたる火災の発生のうえに、密度が高い森林ゆえに消火活動がスムーズに運ばずに往生しているようです。

 この災害の報道の中で、消火活動や避難がスムーズに運ばない理由について語られている場面で、なぜか、日本が引き合いに出されて、このような災害に対して、フランス人は、なぜ日本のように避難ができないのだろうか?と話し合われている場面を目にしました。

 この話し合いを見ていて、やはり、日本は災害が多い国として認知されているのだなぁと思ったとともに、フランス人は日本、日本人を知らないんだな・・とも思いました。それぞれの日常の様子を見ているだけでも、なぜ、日本人にはできて、フランス人にはできないのかは明白なことだと思ったからです。

 日頃、あまりフランスのニュースには上がってこない日本のニュースですが、東日本大震災が起こった時は、さすがにフランスでも特番ができるくらいの大きな扱われ方で、直後にスポーツジムなどで、知らないフランス人の女性から、「あなた、日本人でしょ・・日本のご家族は大丈夫?」などと話しかけられたりしました。

 当時は、津波や地震で避難所に避難している人々の様子なども、フランスで詳しく報道されていたので、そんな映像を見てのことなのか、「日本人は、あんな災害時にも、みんなが譲り合って、きちんと並んで、規律正しく生活していて素晴らしい国民ね・・もしも、あんなことがフランスで起こったら、きっと、フランス人はパニックを起こして、物の奪い合い、殺し合いが起こるわよ・・」と話してくれました。

 これは、パンデミックに関しても言えることですが、もともとフランス人は従順に命令には従わず、災害にも慣れていないうえに、(よく言えば)感情表現が豊かなため、パニックの起こし方も派手で、おさまりがつきにくいのです。

 一方、日本人は規律正しく、我慢強く、従順で、周囲に気遣う人が多いうえに、地震などの自然災害も多いために、日頃から災害に備えている体制がフランスよりもずっとしっかりしています。思い起こせば、日本では、学校でも会社でも定期的に避難訓練というものがあったな・・と思い出します。

 避難訓練などは、バカバカしい・・と思っていましたが、考えてみれば、日本人は子供の頃からの教育で、災害に対する訓練や教育が行われていたのです。バカバカしい・・と思っていたことも、少しずつの積み重ねで日本人には知らず知らずのうちに根付いている日本人からしたら災害時にはあたりまえのようにとる行動もまるで道標のないフランス人にとったら、パニック下におかれたら、大混乱を起こすことになるのかもしれません。


フランス森林火災


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