2024年5月22日水曜日

DVによる狂暴な殺人事件はなくならない

  



 DVによる殺人事件は、一年に何回かニュースにのぼり、その内容に顔を歪めてしまうくらい狂暴で、どうしてそこに至るまでに防ぐことができなかったのか?と思わずには、いられません。

 先週の33歳の女性が元パートナーの男性にDVの被害に遭い死亡してしまったという話も、その過程にいくつもの疑問が湧く、悲惨なものでした。

 この犠牲者となった女性は、長いこと、この元パートナーの男性の暴力に悩まされてきた過程があり、昨年の3月の段階で、この男性は、DVで逮捕され、4月に有罪判決を受けていました。しかし、この有罪判決は懲役18ヵ月(うち10ヵ月は執行猶予付き)だったため、同容疑者は4月に収監された後、数ヶ月後に釈放命令の対象となりました。

 釈放されたとはいえ、さすがに彼らは別居することになり、GPS付のブレスレットを着用させられ、被害者との接触も禁止されていたはずでした。

 この手の犯罪が起こるたびに出てくる多くのケースと同様、GPS付(つまり行動が監視されているはずの)ブレスレットの装着が義務付けられていたものの、それが全く役に立っておらず、被害者との接触も禁止されているにもかかわらず、なんやかやと理由をつけては被害者につきまとうというパターンで、今回も家に自分が残している荷物を取りに来るという理由で、被害者に近づいたようです。

 案の定、その日のうちに二人は口論となり、男性が暴力をふるい、一度、女性は病院の救急治療室で治療を受けています。しかし、不思議?なことに、治療が終わった後にこの女性は、男性に車で迎えに来るように頼んでおり、帰りの車の中で再び口論となり、途中で女性を車から降ろし、一度、女性を大きくボンネットで撥ねてから、少し車を後退させて勢いをつけて彼女を轢き殺したというのですから、酷く狂暴な話です。

 DVカップルの依存関係は、理解するのが難しいのですが、つい数時間前に暴力をふるった男性に迎えに来てもらう気持ちも、まるでわかりません。

 この男性、この女性を轢き殺した際には、かなり酒に酔った状態でもあったようで、血中アルコール濃度が1.26g/ℓであったと言われています。

 そもそも、一度、DVで逮捕されているのに、易々と釈放されたうえに、追跡可能なブレスレットが装着されることになっていたものの、実際には、まだ装着されていなかったのか、またはそれが機能していなかった模様。

 また、女性側もさんざん痛い目に遭っているのに、暴力をふるった張本人に迎えに来てもらい、また、病院側もそのような相手に容易に引き渡してしまうというのも、あまりに杜撰でゆるいというか、責任不在な感じがしてしまいます。

 ニュースにあがってくるのは、その「最も悲惨な結果的に相手を殺してしまった・・しかも最も狂暴で残酷な方法であった場合」のみで、実際には、もっともっと多い相当数のDV問題が潜んでいると言われます。

 近年、フランスでは平均して3日ごとに女性殺害事件が起きており、そのうち最も多いのが元パートナーによる殺人事件で、年間100人以上の犠牲者が出ていると言われています。

 私は、若い頃から、男性に対してこれだけは、絶対に許せないと思っていることがあり、お付き合いしている男性がもし少しでも暴力をふるったら、即刻、アウトと決めていました。幸いにもそういう目にはあったことがありませんが、どんな理由があるにせよ、女性に対して、暴力をふるうなどということはあり得ないこと、これは私がキッチリ考えていたたいせつな線引きでした。

 こういう男性はいわば病的でもあり、一度、深くかかわるとこの愛憎のどちらにしてもエネルギーの向き方が異常であるのだと思われます。

 かねてより、フランスのクズ男は桁違いだと言ってきましたが、このようなDV男は、その最たるものです。少しでもその片鱗が見えた場合は、即刻、関係は断ち切るべきです。


DVによる狂暴な殺人事件


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