マクロン大統領が女性誌 ELLEのインタビューで語った少子化対策と不妊治療対策が話題を呼んでいます。彼はこのインタビューの中で、「ダイナミックな出生率を生み出す」という自身の願望を発表し、医療補助出産(PMA)へのアクセスを改善すると約束しています。
出生率を高めるための計画は、今年1月の段階ですでに発表されていましたが、女性にとって重要と考えられるいくつかのテーマを取り上げたこのインタビューで、彼はあらためて、「子供を持ちたくない人々に罪悪感を感じさせてはなりませんが、私たちの社会保障組織が充分でないことが女性や家族が望むなら子供を産むことを妨げてはなりません。」と述べています。
そのひとつとして、これまでの育児休暇に代わる措置として、出産休暇を設け、母親には 3 か月、父親には 3 か月、子供の生後 1 年間は累積され、社会保障の上限 (1900 ユーロ) まで給与の 50% が補償される(雇用主は希望に応じてこの金額を補うこともできる)システムを構築し、2025年8月の発効を目指しているといいます。
これにより、親は現行の育児休暇(金額は429ユーロに設定)よりもはるかに高い報酬を受け取ることができるようになるはずだとしています。
一方、これにも増して衝撃的な感じがしたのは、不妊治療についての対策で、「二十歳前後の「不妊検査」がすべての人に提供され、健康保険によって払い戻されるシステム」と「将来子どもを持ちたい女性のために、卵子の自己保存を支持するキャンペーン」の実施です。
そして、現在のPMA(不妊治療)にアクセスするまでの待ち時間(現在16~24か月)を短縮するために、「これまで病院施設のみが利用していた卵子の自己保存を民間センターにも開放する」ことを発表しています。
フランスでは、FIV(体外受精)の費用を平均4,000ユーロ、 IAC (配偶者の精子による人工子宮内授精) の場合は、平均 950 ユーロと言われていますが、これらの各処置は健康保険によって評価および価格設定され、その結果、ケアシートが発行され、人工授精や体外受精にかかる費用を全額補償してもらうことが可能です。
それにしても、不妊検査を二十歳前後に行うというのも、二十歳前後以上から~ということだとは思いますが、今どき、その年ごろの女性がすでに子どもが欲しい・・子どもを持つことについて、どの程度、真剣に向き合って考えているかは疑問でもあります。
しかし、一方でこのようなことがあれば、考えるきっかけになり得るとも言えるかもしれません。
まあ、とりあえず、検査を受けておいて、治療が必用ならば、早く治療しておいた方がよいということなのでしょうが、現実的にそれが拡まっていくかどうかは、わかりません。
また、この不妊問題について、彼は、代理出産(GPA)については、反対の立場をあらためて、表明しており、「これは女性の尊厳に反するものであり、女性の身体の商品化の一形態である」と述べています。
実際に私のフランスでの友人の中には、当然、娘を通じて知り合っていることも多く、ママ友とか、すでに子どもが何人かいる状態で知り合いになっているので、あまり、このような話は聞いたことがなく、日本の友人たちは、子どもも何もシングルを貫いている人も結構多いので、具体的なことは正直、わからないのですが、悩みを抱えている人にとっては、切実なことです。
しかし、数年前に結婚した娘の友人が、結婚だけでも「えっ?もう結婚するの?」とびっくりしたと思ったら、「彼女、今、子どもが欲しくて、欲しくて、不妊治療をしている・・」という話を聞いて、さらにびっくり!まだ20代半ばなのに、そんなに急ぐ?と思ったくらいですが、彼女は無事に妊娠して今は、もうママになっています。
本当にこの不妊についての悩みを持っている人がどれだけ切実に悩んでいるかはかなり大変な様子。子どもは欲しくないというのも自由だと思いますが、この出生率が低下しているなか、子どもが欲しいと思う人のために国が手を差し延べてくれるのは、とってもありがたいことなのではないか?と思います。
フランスの少子化対策と不妊治療
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