フランス人は、ことごとく権利を主張する場面が多いような気がしますが、なにかにつけて、権利があるとか、権利がないとか言う言い方をするし、かと思うと、「それは私の仕事じゃない!」「それは私のミスじゃない!」とこの言い方をするというか・・そんな彼らの姿勢に慣れるまでは、「この人たち、最悪だ・・何かというと、権利を主張するくせに、いざとなると、責任逃れだ・・」とウンザリしていました。
しかし、「まぁ、そんなもんだ・・また出たよ・・」とか思うようになってからは、合理的といえば合理的?はっきりしていてわかりやすいということもでき、また、このようなことをいう傾向にある人というのも、ある程度、カテゴライズできる気がしてきました。
今、大騒動を起こしている年金改革問題にしてみたら、全国民に共通する62歳で退職する権利を脅かされているわけですから、それに抵抗しているのも、権利の主張の一端でもあります。
先週末にパリ郊外で20歳の女性が早朝にジョギングに出かけたまま行方不明になったという事件があり、100名近い憲兵隊に加えて300名以上のボランティアが捜索を始め、同時に彼女の写真や身長、目の色、髪の色、体格、その日の服装など詳しい情報が公開され、目撃者を募っていました。
彼女が行方不明になった当日の午前6時過ぎには、防犯カメラには彼女が走っている様子が映っていて、その後、ぱったりと消息がわからなくなってしまったのですから、これはよからぬことが起こったと思うのは普通のことです。
全国展開される行方不明者の情報が出る場合は、高い確率で残念な結果に終わることが多く、また若い女性が襲われたんだ・・などと私は勝手に思っていました。
ところが、翌日の夜になって、彼女が生きているのが発見されたというので、「どういうこと?」と思っていたら、これは彼女自身の意思で失踪しようとしていたということで、彼女は元カレと一緒にいるところを発見されたのだそうです。
これが計画的なものであったかは別として、彼女自身は家を出るときに自分の携帯を家に置いて出ていたために、彼女自身が家と連絡を絶ちたいという意思をうかがうこともできますが、いざ、行方不明となれば、事件性を疑うのも無理はありません。
結局、発見された時点で、彼女は自分の意思で失踪したことを認めたため、一緒にいた男性も、彼女自身も拘留されることはなかったそうですが、多くの人を巻き込んでの大騒動に、どうおさまりがつくのかと思いきや、「彼女はもう成人だし、彼女には、消える権利(失踪する権利)がある!」とのことで、「彼女の事情を追求する権利はない」そうで、彼女の権利を尊重することで、この事件は一件落着となったようです。
今まで、色々なフランス人の権利の主張を聞いてきましたが、今回の「消える権利」、「失踪する権利」といういのは、初めて聞いたとびっくりした次第です。
よくよく考えてみれば、成人した大人がどこに住もうとどこで生活しようと自由なわけで、あとは家族間の問題ではあると思うのですが、これだけたくさんの人を騒がせて、それこそ、いい大人?が周囲に知らせずにいなくなったら、どんな騒ぎになるかは、言わずと知れたこと、この先、この家族がどうするのかわかりませんが、権利は権利でも、やっぱり他人に迷惑かけちゃいけないよな・・とごくごくあたりまえのことを思うのでした。
失踪 権利の主張
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