日本では850万戸の空き家があり、政府は相続人に対する規制を強化することを検討している・・とフランスのニュースで取り上げられているのを見て、「えっ?そうなの?」「空き家が多くなっていることは知ってたけど、それに対する規制を強化・・という話は知らなかった・・」とちょっと斜め読みしていたところ、じっくり読むことにしました。
「高齢化社会を迎え、団塊の世代が80歳を迎える10年後には、日本の住宅の3軒に1軒は空き家になるという試算もある」
「多くの国々と同様、日本も深刻な住宅問題に直面しています。毎年人口が減少しているとはいえ、ある程度の広さが必要な家族にとっては住宅価格は高い。特に住宅市場は、相続した人が手入れをしないために空き家のままになっている数百万戸の家屋の存在によって歪んでいる。そのため、日本政府は税制改正を検討しています」
なんか耳が痛いような話でした。
そういう私の実家も母が亡くなったあと、長いこと父が一人で暮らしていましたが、その父が亡くなって以来、長いこと空き家になっていました。
残された私と弟は二人とも海外生活をしていて、相続手続きからして、容易ではありませんでした。それは、父の容態が悪化してからの介護問題から始まっていたのですが、私はかなり前に夫を亡くして、フランスで一人で仕事をしながら子育てをしていたので、介護のために長期で日本に滞在することは不可能で、娘の教育のことを考えると、娘の受験の時期も重なっていたりして、その時点で日本に本帰国することは無理な話で、結局、父は最期を介護施設で迎えました。
父の死後も落ち着いて、日本に滞在しているわけにも行かず、相続手続きは、すべて銀行に頼んで、なんどか書類を行ったり来たりさせるだけで、最後のサインの時だけ日本に帰国するという感じだったと思います。
これで両親ともにいなくなってしまったという心理的なショックや家への思い入れなどもあり、家はすぐにどうこうするということは決められずに、とりあえず、家の名義は私と弟の共同名義にして、年に2~3回、日本に帰国しては、家の中を少しずつ片付けていました。
父が亡くなった翌年だったか、日本の税務署から固定資産税の請求がフランスの家に届いて、「どうして?フランスの住所、知ってるの?こんなに追跡してくるんだ・・」とちょっと焦って、慌てて帰国したこともありました。
そのうちになんとかしなくちゃ・・と思いながら、ある日、突然、パンデミックで容易に帰国もできなくなり、いよいよ、家は本格的な空き家になっていきました。
家は住んでいないと傷むと言いますが、そのとおりで、それでも我が家の場合は家の地続きに従妹が住んでいるので、全くの空き家というわけでもなかったのですが、台風が来て、鎧戸が飛んでしまったとか、庭の草木が生い茂り植木屋さんに入ってもらったり、住んでもいない家の庭にお金をかけるのももったいない・・などと、帰国時に必死に草抜きをして、除草シートを張ったり、苦労していました。
その後、パンデミックのため、色々な番狂わせがあったものの、その間、娘はフランスでの教育課程を修了し、日本で外資系の企業に就職したため、空き家だった家に今は彼女が一人で暮らしています。数年間、無駄にしましたが、現在、彼女が私の実家に住んでくれています。
彼女が日本で暮らし始めるときに、一緒についていって、家が傷んでいるのにびっくりしましたが、まぁ、彼女にとっては家賃なしで暮らせる場所としては上々なのではないかと思っています。
とりあえず、空き家問題からは一時回避している私ですが、いつかは、なんとかしなければならない空き家問題。現在は、他にも家をすぐには処分できない理由もあるので、手つかずのままいるのですが、いつかは再び、なんとかしなければならない問題として残されているのです。
そんなところにこの「日本の空き家問題」のニュースをフランスで見たのは、何かのお告げかしら?とも思ってしまったわけですが、詳細については書かれていないものの、この空き家対策として「条件付き税額控除」を検討中だということです。
850万戸の空き家は日本の総住宅数の14%に相当するそうで、我が家などは、都内でその気になれば、借り手も買い手もいくらでもいそうなのですが、私たち自身が高齢になっていくにつれて、終の棲家をどこにするのかも考えるし、色々なことが億劫になってきているので、いいかげん、なんとかした方がいいなとは思っています。
団塊の世代が80代を迎える10年後には、日本の住宅の3軒に1軒は空き家になっているという試算もあり、誰にとっても空き家問題は他人事ではなく、ましてや海外在住の人にとっては、さらにハードルが高い問題なのです。
日本の空き家問題
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