2023年1月21日土曜日

日本のニューワードに疎くなる 「片親パン」の巻

  


 メトロの中で日本のネット記事を見ていたら、「片親パン」という言葉がでてきて、???となりました。

 今や海外に住んでいても、いつでも日本の記事も読めるし(yahooニュースはVPNを使わないと見れなくなってしまったけど・・)、日本人のYouTubeを見たりするので、そんなに日本語に疎くなる感じもありませんが、それでも、たまに新しい言葉だったり、表現だったりを知らなくて、長くフランスにいるからといって、ネイティブのようにフランス語を操れるわけでもなく、え~?日本語にもついていけなくなっちゃったかも??と焦るような気持ちになることがたまにあります。

 前回は、仕事で日本の雑誌への広告の文面を考えていて、編集の人に「ガーリーな・・」という言葉を使われて、「えっ?ガーリーってなに?」と焦ったことがありました。

 今回は、何の記事だったか忘れましたが、文面の中に、「親ガチャとか、片親パンとか・・」という内容があり、親ガチャは、ネット上でなんとなく、知っていた言葉でしたが、片親パンというニューワードの登場に再び、ちょっとドッキリしたのです。

 しかも、私自身は、片親で育ったわけではありませんが、私の夫は娘が10歳の時に亡くなっているので、いわば片親状態で育ったので、きっと普通以上に片親というワードが気にかかったのかもしれません。

 フランスは親が亡くなっていなくとも、両親が離婚している場合も多いので、片親家庭も日本よりは多い気もするので、片親であることをそんなに気にすることもないかもしれないと思っていたのは、私だけで、ある日、娘から「私の友達の間では、父親の話はなんとなくタブーになっている・・」という話を聞いて、普段、口にすることはなくとも、父親が早くに亡くなってしまったことは、娘にとっても周囲の友人が気を使ってくれるほどのやはり傷になっていることを思わせられたことがありました。

 まあ、考えてみれば当然のことです。

 そんなに豊かとはいえないものの、様々な援助などのおかげで、夫が亡くなったにも関わらず、そんなに経済的にひっ迫したということはなかったつもりですが、これもまた、娘が気を使って気にしていないふりをしてくれていただけかもしれません。

 「片親パン」というのは、量が多くて安価な菓子パンのことを言うそうですが、この言葉が、単なる自虐的なジョークのように使われているものなのか?その重みはわかりませんし、これらのパンを単に自分の好みで選んで食べている人もいるだろうとも思います。

 しかし、ジョークとしたら、あまりセンスは良くないな・・とは思います。

 フランスの場合は、スーパーマーケットなどで大量にパックになっているバゲットやヴィエノワズリー(パンオショコラなどのいわゆる菓子パン?の類)やブリオッシュなどもありますが、それらは片親パンというよりも大家族用?のイメージです。

 この片親パンには、経済的な問題が含まれているとは思いますが、その点で言えば、なんとなく、思い浮かぶのは、夕方、バゲットを買いに来ている少年がオイルサーディンの缶詰だけを握りしめているのを何回か見かけたことがあります。

 家の場合は、小学校を卒業するまでは、一人で買い物に出かけることもなかったし、娘があまりフランスの食べ物を好まなかったこともあり、おなかがすいたらいつでも食べられるように、我が家の冷蔵庫には娘が赤ちゃんの頃から好きだったブロッコリーを茹でたものや人参の茹でたもの(つくづく健康的なものが好きな子でした)を入れておくようにしていたので、さしずめ我が家にとっての片親パンはブロッコリーだったかな?と思います。

 値段から言えば、菓子パンもブロッコリーも大した代わりはありませんが、この片親パンには、単に安価というだけでなく、手間暇をかけないという意味もあるかもしれません。

 手間暇をかける時間の余裕もないのが片親なのかもしれませんが、現実に片親だった私が日本に住んでいたら、このパンを娘に食べさせていたかどうか?などと、やっぱり片親というワードに過敏に反応してしまうことは、やっぱり自分が普段は意識していなくても、片親であったということに何かひっかかるものがあったということを気付かせられるニューワードなのでした。


片親パン


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