2023年1月4日水曜日

ガス・電気料金高騰で閉店に追い込まれるかもしれないパン屋さんの反乱

  


 エネルギーコストの高騰により、倒産の危機に瀕しているパン屋さんが激増していることが問題にあがり、大炎上しています。

 爆上がりしている電気代の請求書を受け取り、「この請求書を払えば、もう従業員の給料を支払うことも材料の仕入れもすることはできない」小規模のパン屋さんたちが悲鳴を上げ始め、製パン業界の代表者が財務相との会議に臨む事態にまで発展しています。

 昨年以来、高騰を続けているガス・電気料金の高騰により、エネルギー消費が多いパン屋さんは、もう待ったなしの状況まで追い込まれているのです。

 発酵過程から、オーブンを使う段階まで、そして、保存のための冷蔵庫や商品陳列のための照明まで・・パン屋さんの電力消費はかなりのもので、そもそも材料費などのコストは過去1年間で40%の高騰していることもあり、それに加えて、社会保障料金や、このエネルギーコストの高騰に見舞われては、小規模のパン屋さんにとっては、もう経営を続けることができずに、破産申告をする例が増えているのです。

 パンというのは、フランス人にとっての主食でもあり、ある意味、特別な位置づけでもあり、昨年、バゲットは無形文化遺産登録を成し遂げたばかり、このパン屋さんの現状はフランスの誇るバゲット業界にあるまじき現状なのです。

 政府は中小企業向けにエネルギー高騰への援助対策をすでに行っており、これらの業界へは特別電気料金が施行されることになっていますが、これが充分に徹底していないことや、雇用者が10人未満で、売上高が200万ユーロを超えず、電力消費量が36kVA(または33kW)以下、それに等しい非家庭用消費者は、これらの特別料金制度を利用することができない微妙なゾーンが生じてしまっていることも原因であると言われています。

 陳情を受けた財務相は、電力バッファ(電力の衝撃的な値上げを緩和するための政策)を、2023年1月1日から2023年12月31日まで適用することを再確認しました。この新しい制度は、電力料金の上昇に直面している企業や地方自治体を支援するためにすでに実施されている施策に追加されるものです。

 この制度は、プロフェッショナル契約を結んでいる消費者のうち、すでにタリフシールド(特別料金制度)の対象になっていない人が対象で、具体的には、電気料金が一定水準を超えると、国がその一部を負担するというものになっています。

 これはエネルギー供給会社が直接適用するもので、この制度が適切に機能すれば、つまり、けた違いの請求書を受け取ることはないということになります。

 また財務相は、これまでの特別料金制度に対しても、電力供給会社は適切に対応していないことを非難し、これはすでに昨年の10月に電力供給会社と取り決め、サインをしているはずのこと、すぐ実施しなければならなかった、この約束が尊重されていないのは、非常に残念なことであり、これに違反している電力供給会社の企業名を挙げて、「これに従わず、約束を尊重しないのであれば、追徴課税金を請求する」と脅しをかけました。

 これは、弱い立場の人を援助しようとする場合に、援助する立場である大企業が援助を必要としている人の痛みを知らずにグズグズして対応しないのか、悪く考えれば、援助金は政府に請求しながらも、それを公正に被援助者に反映しないで中抜きしたりしているか? 残念ながら、日本でもいろいろな場面で見られる現象でもあるのかもしれません。

 とにかく、今年一番の本丸と思われる年金改革問題が控えている今、その騒ぎをさらに大きくするような火種はできるだけ消しておきたいフランス政府ですが、すでに1月に入ってまだ数日しか経っていないというのに、すでに1月7日には、黄色いベスト運動再開の知らせを始め、次から次へとデモの予定が発表され、このパン屋問題についてもデモが予定されています。

 年明け早々、論争続きではありますが、騒ぐからこそ、政府もできるだけ正当に対応しようとしているのです。

 最近、めっきり、デモはやったほうがいい、ある程度、やるべき(ほどほどにですが)だと思うようになった私です。


電気料金高騰によるパン屋さんの危機


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