2022年10月19日水曜日

バゲットの値上げとお金のない人のお金の使い方

  


 INSEE(統計経済研究所)によると、昨年平均90セントで売られていた標準的なバゲットの価格は、1.20ユーロ(約175円)に近づく可能性があると言われています。欧州全体では、パンの価格が1年で18%上昇したと言われているので、フランスはまだマシな方なのかもしれません。

 しかし、そう言われても、すでにかなり前からバゲットの値段は1ユーロを超えていたような気がするのですが、あくまでも平均価格での話なので、スーパーマーケットで10本5ユーロとかいうようなバゲットも当然入っているわけで、最近、気のせいか、スーパーマーケットで、この10本セットなどのバゲットを抱えている人が増えたような気がします。

 上の写真の10本セットのバゲットは、1本だと52セントで10本セットだと5.20ユーロで、たくさん買ったところで別に安くなるわけでもないんだ・・と思いきや、10本買うと1本オマケについてくるらしい・・つまり1本あたり47セント(70円くらい)になる計算です。

 なかなかギリギリな感じですが、5人家族が多いフランスの家庭ではこの10本のバゲットもあっという間に消費してしまえる量なのでしょう。

 一般的には、バゲットはフランス人家庭にとっては、主食であり、毎日、確実に消費する食品なので、バゲットの価格はある程度の経済指標の一つになるのです。バゲットはフランス人の家庭にとっての主食であり、おやつでもあり、子供のグーテ(学校に持っていったりするおやつ)には、バゲットにチョコレートクリームや時には板チョコを挟んだりして持たせる親も少なくありません。簡単だし、いつも家にあるもので、安上がりなフランス人の子供のおやつです。

 バゲットを焼くオーブンは、ガスや電気で稼働しているので、そもそも値上がりしたと言っても高くない単価のバゲットなどのパンに関して、このエネルギー価格の高騰は大変な痛手で、原材料価格の小麦、バター、卵、人件費、パンを包む紙袋まで、全ての価格が上昇し、小さいパン屋さんなどには、とても持ち堪えられない事態。

 おまけにスーパーマーケットなどの大量生産で価格を下げる戦法には、とても太刀打ちできません。2023年度予算では、従業員10人未満の企業には来年度も関税の軽減措置が適用されることになっており、これは多くのパン屋さんに関係します。

 私自身は、それほど定期的にバゲットを食べているわけではないので、この値上げにあまりピンと来てはいないのですが、最近、レストランに行くと出てくるパン(バゲット等のハード系のパンが多い)の量が減ったな・・と感じています。(足りなければ、頼めば追加で出してくれるとは思いますが・・)

 そもそもレストランでは日本だと、パンは行くとまず出てくる水のようなもので、パンは頼まなくてもまず出てくるものなので(食事の場合)、なんか、これでもか!というくらい山盛りで出てきていたイメージがあるのですが、それが、最近、このパン山盛り感が減った気がしています。

 まあ、パンを目当てに行っているわけではないし、パンばかりでお腹を膨らましては残念なので、私にとっては、全然OKなのですが、やはりパンがないと食事にならない・・という人もいて、夫の友人のパン好きの人は、ピザを食べてもパンが欲しいとか、日本食も好きなんだけど、日本食のレストランはパンが出てこないから行かない・・などという人もいるのです。

 全てが値上がりしているため、パン屋さんだけでなく、レストランなども緊縮財政での営業なのだと思いますが、価格の高騰を嘆くわりには、フランス人は外食が好きで、価格の高騰で生活苦を訴えるデモに数万人動員・・などと言っているわりに、こんなものにこんなに払ってまで外食する?また、ランチタイムなどのテイクアウトのサンドイッチやサラダなどが結構な値段にもかかわらず、けっこう売れているのは不思議です。

 自分で稼いでいるお金、何にどう使おうと勝手といえば、勝手なのですが、午前中の休憩時間などに、毎日のように、たむろして、クロワッサンとカフェなどを食べたり飲んだりしている決して高給取りとは思えない人々になんだかモヤモヤするのです。まあ、これが中途半端に高いのですよ・・。

 先日、日本では、「貧因層ほどコンビニで割高の買い物をしている」などという報道を見かけましたが、細かいながらも蓄積される消費を抑えないのは、フランスでも同じなのかな?と思ったりもします。

 ましてや、フランスは一般的に外食は高く、10ユーロ(約1,450円)以下で食事ができることは、かなり稀なのです。

 もともと私はケチなので、支払う金額に対してそれなりの価値がなければ、外食をする気にはなりません。外食をする場合は、家で自分で作れないもの、またお店の雰囲気や空間が心地よいと感じられる場所に限られるので、そんなに外食する機会が多いわけではないのです。

 しかし、「貧因層ほど無駄なお金の使い方をする」というのは、フランスでもまた、同じかな?と感じるのです。


バゲット値上げ 貧因層


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