フランスでは、そんなに珍しいことでもありませんが、先日、マクロン大統領が夜のニュース番組の中で、1時間近くにわたり独占インタビューに答えて語る番組が生放送されました。
様々な国際問題について、ロシアのウクライナ侵攻について、フランスのウクライナへの武器供与、ロシア・プーチン大統領との交渉について、核兵器について、エネルギー危機について、ガソリン不足問題、原子力発電について、ベラルーシ、イランやアルメニアの問題について、などなど、これでもかというくらい喋りまくりました。
ジャーナリストのキャロライン・ルーとの1対1の対話、途中ウクライナからのジャーナリストの質問などを挟みながらの生番組で、おおよそのテーマは決められていたであろうし、その一つ一つに対する話の内容については、用意はしていたとは思いますが、どちらもかなりのテンションで話が進んでいく中、おそらくかなり自分の中で練り込まれているであろう内容を自分の言葉で巧みに語っていく様子には、毎度のことながら、お見事と感心させられます。
ロシアのウクライナ侵攻については、フランスが戦争をしているわけではなく、ウクライナを守るために武器供与を行なっているのであり、ロシアは2月24日、ロシアはウクライナに対する戦争の開始を選択しましたが、今月に入ってからのロシアによるウクライナへの一般市民を巻き込んだ空爆による攻撃はさらなる段階に突入したと見ており、このことから、さらに6台のシーザー砲を追加供与することを決定しました。
今月に入って以来激化しているロシアによるウクライナへの攻撃について、マクロン大統領は、たとえロシアがこれを戦争ではなく「特別軍事作戦」と言ったとしても、国際的な武力紛争であるため、戦争の規則が適用され、民間人に対する攻撃は、国際法上、戦争犯罪とみなされると明言しています。
数週間前にプーチン大統領と話したという彼は、必要ならばいつでも話をする用意があるが、いずれ話し合いのテーブルにつかなければならないのは、ロシアとウクライナであることも強調しています。
また、国内の問題については、これまで欧州はロシアのガスに依存しすぎており、以前は購入するガスの約40%がロシアからでしたが、現在は7.5%。「ロシアはガスを戦争の道具に変えてしまった」と語り、フランスの原子力発電所については、「56基のうち30基が稼働している状態。あと数週間で、40基が稼働され、1月には45基にするのが目標であり、この目標は達成される見込みであることを発表しました。
ロシアの核兵器の使用については、非常に警戒が必要であるとしつつも、核兵器への脅しに煽られて話題に上げすぎてはいけない、あまり多くを語らない方が信頼性が高まると述べ、フランスも核兵器保有国であるということだけを語りました。
そして、現在フランスで起こっているガソリン不足問題については、これは戦争によるものではなく、製油所のCGTの社会的な問題であり、首相が決定した製油所労働者を徴用する(最低限社会生活に必要なガソリン供給のために働くことを強制し、従わない場合は懲役6ヶ月、罰金1万ユーロという罰則つき)ことについて、夜中にガソリンを探すために行列している人々のことを思うと、頭が下がる思いであり、これ以上、国を封鎖したままにしておくわけにはいかない、フランスの燃料価格が他のヨーロッパ諸国と比べて圧倒的に上昇していないのは、国が差額を支払っているからで、誰もが自分の立場をわきまえ、すべての責任を負わなければならないと述べました。
おそらく、この場に臨む以前に何度も話し合いが続けられてきた内容ゆえ、台本なしになめらかに力強く語り続けることができるのでしょうが、この他にベラルーシ、イラン、アルメニア問題なども語りつつ、最後にインタビュアーが締めの言葉に入ろうとしたのを遮って、最後にもう一つ言わせて欲しい!と彼自身の納得のいく言葉で「たしかに難しい局面ではあるが、わたしたちにはチカラがある。必ず乗り越えられる」と締めくくりました。
マクロン大統領は弁が立つことで有名で、時にはそれが嫌われる原因ともなるのですが、なんといっても、その言葉は力強さには、もしかしたら騙されているかも?と思いつつも納得させられてしまうようなところがあり、何よりも、なに一つ国民に対して満足に説明できない日本の首相の様子を見ている限り、国のリーダーとして、羨ましい気持ちを拭いきれないのでありました。
マクロン大統領インタビュー生番組
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