2022年10月30日日曜日

陰惨な事件が続くフランス 被害者・加害者ともに若すぎる

  


 毎日のように大々的に殺人事件についての報道、毎週、遺体が発見されているような気がする・・そんなニュースばかりが続いていることに暗澹たる気持ちにさせられています。しかも、その被害者・加害者ともに20代前半だったり、子供だったり、命を絶たれた被害者はもちろんのこと、加害者となった若者の人生も終わりで、彼らのあまりに短い人生にやるせない気持ちになります。

 10月半ばにパリ15区で起こった、12歳の少女が殺され、彼女が住んでいたアパートの近くの中庭でスーツケースの中から遺体が発見された事件は、その非道で残酷な手口はあまりにも衝撃的でフランス中が大騒ぎになりました。

 容疑者は比較的早い段階で逮捕されましたが、24歳の、一見すると、普通の女性で娘と同じ年齢だったことは、私にとっては、同時に衝撃的でしたが、娘にその話をすると、「同い年だからといって、同じ境遇や環境で育ってはいないし、同じ24年間を過ごしてはいない」と一蹴されてまるで意に介していない様子には、どこか、ホッとするような、なんだか納得いかないような複雑な気持ちになりました。

 その後、今度はコレーズ県(ヌーベル・アキテーヌ地域圏)のディスコで週末に20歳の女性が行方不明になったと報じられ、それからまもなく、21歳の男性が誘拐、強姦、殺人の容疑で逮捕され、彼は彼女を殺して彼女の遺体を森に埋めたことを自供しました。

 2人の間に多少の面識はあったことが逆に彼女を油断させたような気もしますが、後に同席していた友人の証言により、向けられたシャンパンのグラスに口をつけた彼女がへんな味がすると言っていたことがわかっており、飲み物に薬物を入れられていた可能性が浮上しています。

 この犯行がどの程度、計画的なものであったのかはわかりませんが、彼は犯行後、彼女の持っていたバッグを燃やし、犯行が行われた部屋から彼女の痕跡を消そうとした形跡があり、遺体を埋めていることから、逆に彼自身が、彼の行いが悪いことであると認識して隠そうとしていたことが、たとえ衝動的な犯行であったにせよ、彼が責任能力が問われないような精神状態であったとは考え難いことを表しています。

 被害者の女性は2歳の子供がいる20歳の女性、加害者は21歳の男性。被害者の女性は命を奪われ、その子供は2歳で母親を亡くしてしまいました。加害者の男性には、今後、容疑が固められていきますが、おそらく終身刑が降ると言われています。

 そしてまた、今度は、マルセイユで11歳の子供が遺体で発見されたというニュース。当初、母親から子供の失踪届けが出されていたといいますが、子供の遺体にナイフで切られた跡が数箇所発見され、その血痕が家から遺体発見現場への道のりに残されていたことから、子供の母親が警察に拘束されています。

 ここのところ続いている陰惨な殺人事件とその被害者・加害者の若さは、衝撃的です。この世に殺されるという死に方をする人がどのくらいいるのかわかりませんが、まだ、はじまったばかりの人生で、殺されるほどの人の恨みをかうほど生きてこなかった人が殺されるやるせなさは、計り知れません。

 娘と同年代の人々の事件を見るにつけ、被害者になる心配とともに、初めて自分が妊娠した時に、育て方によっては、子供が将来、犯罪を犯す側にもなりえるのだ・・ちゃんと育てなければならない・・大変な責任を負ってしまった・・と感じたことを思い出します。

 このような若い人の陰惨な事件を見るにつけ、最近の私は、どうしてもその親側の目線で見てしまうのでした。


若者の殺人事件


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