2022年10月2日日曜日

カマイユ(Camaïeu)倒産に見るカマイユとユニクロ パリの微妙な比較

  


 フランスの服飾メーカー カマイユ(Camaïeu)は設立から38年。惜しまれながら、先週末でその幕を閉じ、フランス国内の512店舗全てが閉店しました。

 カマイユ(Camaïeu)は、1984年に設立し、比較的低価格設定で、需要に応じて供給を調整する手法で、10年間であっという間に200店舗を抱えるフランスの人気ブランドの一つに成長しました。

 急成長の途中、子供服、メンズにも手を広げますが、危機に直面して、これらは撤退。

 2000年の時点でヨーロッパにも出店を始め、国際展開にも乗り出し、ネットワークを広げてロシアや中東のパートナーとも協定を結び、特にハンガリー攻略に乗り出します。

 2015年には、15カ国で展開し、フランス国内の約650店舗を含め、合計900店舗以上にまで拡大しています。その後、2017年には、フランスの繊維小売業が、メルキュールインターナショナルグループと提携したことを機に、フランチャイズモデルでカメルーンに1号店をオープン。

 この後、2018年にガボン、チュニジア、セネガル、カメルーンとアフリカで5店舗を出店します。しかし、結果的に力を入れるべきは店舗数を増やすことではなく、ネット販売への移行へ投資する時期だったのです。

 そして2020年、パンデミックの影響で長期間、店舗は営業できずに大打撃を被り、この期間に海外の仕入れ業者が物流がストップして、カマイユが支払いをしてくれないと騒いでいるのがニュースになっているのを見かけたりしていました。

 とはいえ、我が家も結構、お世話になりました。低価格で、デザインがシンプルで、色がきれいなTシャツとか、セーターとか、娘が中学・高校生くらいの頃なので、10年くらい前になるでしょうか? 近所のショッピングセンターにお店が入っていたこともあり、カラフルな色のグラデーションをきれいに飾った店内に目を惹かれて、また、微妙な色合いのものなどもあったりして、ずいぶん買い物をした気がします。

 しかし、値段が値段なので、文句は言えませんが、生地のクォリティはそれほど良いとも言えず、長く着れるものではなかったかもしれません。そもそも成長期の子供なので、その程度でも充分でもあったのです。

 その頃は、カマイユが店舗数を急拡大していた頃で、いく先々で、こんなところにまでカマイユあるの?と思った気がして、一時、オペラ通りにもあってびっくりしたのを覚えています。

 パリのオペラ通りというのは、このようなお店にとっては、なかなか微妙な通りで、有名な大通りではあるものの、その知名度ほどには、華やかさはなく、これといったお店もたいしてなく、実は店舗の入れ替わりの激しい通りでもあります。

 今から振り返れば、カマイユが店舗数を拡大中は、実はカマイユが傾き始める時期とも重なり、またパリにユニクロが浸透していく時期とも重なっているのは偶然だろうか?とも思います。

 ユニクロのヒートテックがパリでも大人気になり始めた頃、カマイユにも低価格のヒートテックまがいのものがたくさん並ぶようになりましたが、ユニクロとて、日本よりは高いとはいえ、そもそもそんなに高価なものでもありません。

 カマイユに比べて、ユニクロの製品のクォリティはしっかりしていて、間違いがないという信頼をユニクロはパリでも積み重ねていき、今から思い返すと、この頃、パリでやたらとユニクロの紙袋を持っている人をたくさん見かけるようになっていったような気がします。

 もともと締まり屋のフランス人。シンプルなデザインのものであったなら、少々、値段が高くても(カマイユよりも)、品質が確かで長く着ることができるユニクロの方がいいと考えるのではないか?と思うのです。

 けっこう、人気だったはずのカマイユの倒産には、様々な経営戦略(海外展開など)の失敗が重なった上にパンデミックによるロックダウン中の営業停止、その間にネットショッピングが急速に普及したことなど色々、原因はあると思いますが、ユニクロの存在も関係があるような気がしています。

 こういった低価格帯のお店が姿を消していく中、エルメスやディオールなどの高級ブランドは、私にとっては美術館のような存在ですが、桁がいくつも違う価格帯、このインフレもネットもなんのそのの勢いで、店頭には行列、店内でも飛ぶように商品が売れる繁盛ぶり。

 なんだかモヤモヤしないでもありません。


カマイユ(Camaïeu)倒産 ユニクロ


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