2022年2月1日火曜日

歯医者さんの変貌 金の扉と治療室のスクリーン

   

私が一部を支払ったと思われる歯医者さんの金の扉の一つ



 パンデミックが始まってから、今回の治療に通い始めた歯医者さん、ロックダウンのために予約が延長になったり、バカンスのために中断したり、そうでなくとも予約が変更になったりで、なんだかんだでもう1年以上が経過しています。

 そもそも歯医者嫌いで、ぐずぐず放っておいた私が悪いのですが、結局、1本は、インプラントにすることになり、出費もかさみ、時間もかかり、もう今年こそは何とか終わってもらいたい・・と願いつつも、私の方も思わぬ予定が入ったりして、予約が伸び伸びになり、今年に入って初めての歯医者さんへの通院でした。

 もういい加減ウンザリとはいえ、この歯医者さんは、家から歩いて1分のところにあるうえ、現在のところに引っ越してから、もう長い付き合いで、気心も知れていて、多少のわがままは聞いてくれたりもするし(実際に保険の都合で、昨年に全て書類上は、治療済みにしてもらったりしている)、腕は確かなので、結局のところ、ずっと同じ歯医者さんに通い続けているのです。

 昨年の夏のバカンスの後半あたりから、この歯医者さんは、改装工事を始めていて、本当は1ヶ月で終了するはずだった工事が、なんだか、ずっとバタバタ続いていて、治療室だけの場所は先に工事が済まされているものの、落ち着かない感じのまま年末を迎えていました。

 久しぶりに行って、びっくりしたのは、この歯医者さんの診療室のいくつかの扉が全てゴールドになっていたことで、その趣味は別としても、私は、内心「この金ピカのドアの一つぐらいは、私が払ってる・・」と思っていました。

 予約の時間は15時で、時間に遅れるのが嫌いな私は時間ぴったりに間に合うようにきっちり到着。前の患者さんの治療が長引いているのはいつものこと、5分ほどして、ようやく帰ったと思ったら、何だか患者さんではない人が入ってきて、バタバタしている様子・・その間、通りかかる歯医者さんが「マダム・・あと2分待ってね・・」と言いながら通り過ぎていき、また、さらに待たされることに・・(なぜか、フランス人はちょっと待ってて・・という時に「あと2分!」とか「あと1分!」とか言います・・しかし、それは、ちっとも2分でも1分でもないのです)

 時間が経つにつれて、私も携帯を覗きながら、「時間がずれるなら、近いんだから、知らせてくれれば、時間どおりになど来なかったのに・・」と少々イライラし始め、「こんなことでイライラしていては、フランスでは暮らせない・・」と自分に言い聞かせながら、待たされること約30分、ようやく診療室に入ってびっくり!治療のために置かれた、すこぶる座り心地(寝心地)のよい長椅子の斜め上には、大きめのテレビ画面が・・。

 「以前は、待合室にテレビがあったのに、今度は診療室につけたのか・・こんなところにテレビがあっても、治療してもらいながらテレビなんか見れないのに、へんなの・・」と思いながら、長椅子に腰掛けると、眩いばかりのライトがカチッとつけられ、治療が開始。

 ライトの眩しさに目をつぶりつつ、治療を始める歯医者さんとアシスタントの会話に耳を傾けていると・・「これ、ネジのサイズが合わない・・1ヶ月もかかっているのに、こんな不良品が来るわけはない」などと言っているのが聞こえてきます。何やら嫌な予感・・。

 もうまな板の上の鯉状態の私は、とにかく今日の治療が早く無事終わりますようにと祈るのみ・・どうやら、レントゲンの取り直しで、長椅子に寝たまま口内のレントゲン撮影、口の中をいじくり回されている間は、口もきけずにひたすら耐えていると、近くにあるパソコンをパチパチと操作、私がテレビだと思っていた画面には、私の口内のレントゲン写真が映し出され、どうやら、これはテレビではなく、パソコンのスクリーンであったことが判明。

  

スクリーンに映し出される私の歯


 治療中の歯医者さんやアシスタントの女性の手に遮られて見えていなかった画面に気づいて、私は、思わず画面を指差して、「なにこれ!すごいじゃない!」と叫んでいました。

 どうやら、さっきバタバタして、待たされていた間にいた工事の人たちは、このスクリーンのコネクションに来ていた人たちだったらしく、まだ治療室の外にいた彼らに向かって「私の患者さんがとっても感激してくれてるわよ!」と歯医者さんもご満悦の様子。

 私が子供の頃の歯医者さんは、ちょっと治療をするたびに、「はい、ブクブクしてください!」などと言われていたことを思い出し(今ではブクブクする必要もなくなり、口内に入れられたチューブから勝手にプシューっと水が出て、また別のチューブがその水を吸い込んでいく)、その上、今、撮ったばかりのレントゲンがすぐに目の前の大画面に映し出される様子に時代は変わったものだとしみじみ・・、画面といえば、すぐにテレビと勘違いする自分が恥ずかしい気持ちになり、延々待たされたことなど、治療のあとは忘れていたのでした。

 歯医者さんって今は、どこもこんな感じになっているのでしょうか?


フランスの歯医者


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