2022年2月24日木曜日

パリ16区での日本人が首を絞められる強盗事件発生

   


 在仏日本大使館から、「最近、在留邦人の方が、夜10時ごろ、パリ市内16区(メトロ10番線のミラボー駅付近)の路上(AVENUE DE VERSAILLES)を徒歩で移動中、近寄ってきた複数の男に首を絞められ、その間に所持品を奪われる強盗被害が発生し、被害者の方は、すぐに警察に被害届を提出するとともに、大使館の方にも連絡をいただきました」という注意喚起のメールが届きました。

 パリ16区といえば、パリの中でも高級住宅街として有名な地域。一見、治安は良さそうな気もしがちですが、お金を持っている人が多いということで、逆に狙われる地域でもあるという印象もあります。

 以前、パリ16区に住む知人が運転中、信号で車を停車した際に、突然、男が押し入ってきて、座席においていたバッグを奪い取られた知人がいました。運転中、不覚にもドアをロックしていなかったのです。

 今回の被害者は首を絞められて襲われたということで、金品を奪われた以上に、その恐怖はいかばかりのものであったかと恐ろしいばかりです。人生のうちで首を絞められる経験をしたことがある人など、そんなにいるものではありません。

 夜道、いきなり数名の男に囲まれたら、もう何も抵抗はできないし、むしろ、犯人がナイフなどの凶器を使わなかったことが救いであった気さえしてしまいます。

 私は16区に住んでいるわけではありませんが、日中、パリ市内のいつもは平和そのものの場所でいきなり男の人が近づいてきて、金のネックレスを引きちぎられたことがありました。大男が異様な目つきでいきなり近付いてきたその時の恐怖は今でも忘れることができません。

 暴力を振るわれたわけではなかったけれど、怖くて声を上げることもできませんでした。本当に恐怖にかられた時は、思わず、絶句してしまい、簡単に大声なんて出ないものです。恐ろしい目に遭った時、大声で叫ぶのは、訓練していないとできないかな?などと、へんなことを考えました。はっきり言えば、ネックレスを取られたのもショックではありましたが、それ以上に恐怖心が強く、それ以来、たとえ日中であっても、目立つネックレスをして出かけるのはやめています。

 ブランド物のバッグ等もまさにそれとわかるようなものは、決してパリでは持ち歩きません。

 また、私の同僚(若い中国人の女性)が、パリのメトロの駅付近で帰宅途中(夕方)、ボコボコに顔を殴られて、バッグを奪われたこともありました。また、別の知人は、バイクの二人乗りの男に後ろからつけられ、バッグをひったくられた者もいます。

 今回の首絞め強盗事件には、今のところ、フランスの一般のマスコミでは報道されていませんが、首を絞められるという手口は初めて聞いたことではあるものの、暴力によって金品を奪われる強盗事件は、特別にニュースとしてとりあげられるものではないほど、一般的なものであるのかもしれません。

 昨年、パリ17区で日本人が塩酸を顔にかけられるという傷害事件が発生し、それは、強盗事件ではなく、コロナ発生以来、エスカレートしていたアジア人をターゲットにした「アジア人狩り」とも言われる嫌がらせかもしれないとも言われていました。

 その時の事件は、フランスの新聞でも、一部、報道されたことから、17区の市長が「あれは、特別アジア人を攻撃したものではない。被害者本人が軽傷であるため、警察に訴えることを望んでいない。警察は捜査を続ける。」とコメントを発表したものの(犯人もつかまっていないのになぜ?そんなことがわかるのか?とおもったけど)、結局、被害者が被害届を提出しなかったことから、事件は風化してしまいました。

 今回の事件は被害者は警察に被害届を提出したようですが、強盗事件が日常茶飯事のように起こるパリで、警察が本格的に捜査にあたるとも考えづらく、はっきりしていることは、パリでは常に気を張って、目立たないように暮らさなければならないということです。

 フランス内務省の発表によれば、2021年第4半期(10月〜12月)の強盗件数は、10万件を超えているということで、先ほどのニュースでは、車の盗難事件の話をしており、フランスでは4分に1台の割合で車の盗難事件が起こっているそうです。


 パリで特に危険とされているのは、パリ北部の地域ですが、パリ16区は、昨年4月に死亡者も出る銃撃事件が起こっています。総じて言えば、パリに安全な地域はないということです。

 日々、起こる事件は時が経ち、風化していつの間にか忘れてしまいますが、こうして思い返してみると、身近なところでも色々な事件が両手にあまるほど起きてきて、今までよく無事でいられたものだ・・とも思うのです。

 これまで12月は犯罪が多いと思ってきましたし、実際、そうだとは思いますが、偶然にも、前回、日本人が塩酸を顔にかけられた事件が起こったのも2月、暴力的な事件は2月なのかもしれないと考えたりもしているのです。


パリ16区日本人首絞め強盗事件


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