2022年2月16日水曜日

次のステップに進むフランスの感染対策規制緩和 ディスコ・ナイトクラブ再開

   


 フランスでワクチンパスがスタートしたのは、1月末のことで、ワクチンパススタートの発表時には、同時にその後の段階的な感染対策緩和のスケジュールが発表されていました。

 それまでも、フランスでは、すでにヘルスパスによる制限が定着していたこともあり、その後の感染対策緩和の方に注目が集まっていました。

 その時の予定どおり、フランスは、ワクチンパスの施行の1週間後には、屋外でのマスク義務化やリモートワークの義務化を撤廃しています。

 1月末の段階では、1日の感染者が40万人前後もいた状態で、その後の感染対策の緩和については、正直、「本当に大丈夫なんだろうか?」と不安で、特にさらにその2週間後の「ディスコ、カフェやバーでの立ち飲み、スタンディングコンサートを解禁」という予定には、その時点では、私は、「とんでもない!」と思っていました。

 しかし、2月に入って少し経つと、フランスの1日の新規感染者数は、急激に減少し始め、いつの間にか、薬局での検査のために、あんなに行列していた人々も消え(セルフテストの拡大もある)、今週に入ってからは、なんとか、1日の新規感染者数も10万人前後にまで下がっています。もともとが酷すぎたこともありますが、この感染の急降下には、ちょっとびっくりしています。

 政府報道官ガブリエル・アタルは、15日、現在の状況を「ようやく光が見えてきたようだ・・」と表現し、「最後の制限を解除し、かねてよりの予定どおり感染対策制限を緩和することができる」と発表しました。

 2月16日からは、ディスコ・ナイトクラブが再開され、カフェやバーでの立ち飲みが許可され、スタジアム、映画館、公共交通機関での飲食が可能になります。

 そして、2月28日からは、交通機関を除くワクチンパス対象のすべての閉鎖空間でのマスク着用の義務化が撤廃されます。

 しかし、彼の発表は、感染対策規制の緩和に終始することはなく、現在の状況は、決して安心できる状態ではなく、「規制の緩和・撤廃は、警戒・注意の終了を意味するものではない」と述べています。

 実際に新規感染者数は減少しているものの、コロナウィルスによる入院患者数は、31,500人以上、病床を圧迫し続けていることに変わりはありません。新規感染者の減少は、今のところ病院の状態改善までには影響を及ぼしてはいないのです。

 予定どおりなのは、感染対策の緩和だけではなく、2月15日からは、2回目のワクチン接種から4ヶ月後にブースター接種をしない場合は、ワクチンパスが無効になるというルールもスタート。現段階では、400万人のワクチンパスポートが無効になってしまったと言われています。

 ここまでフランスの感染者数が減少してきたのは、ワクチン接種、ブースター接種の効果が大きいことは言うまでもなく、現在では、フランスのブースター接種率は、55%まで上昇しています。

 ところが、ここに来て、先日のカナダのワクチン接種義務化に反対する大規模なデモ「自由の車列(Freedom Convoy)」に触発されたフランス版ワクチンパス反対+もろもろの抗議デモ「Convoi de la Liverté」を警戒した政府が「ワクチンパスポートは3月末から4月には解除できる可能性がある」と発言したことから、もう少しだけ我慢すれば、ワクチン接種は必要なくなる・・とワクチン接種をしない方向に傾き始める人も出始め、ワクチン接種・ブースター接種率の上昇はスピードが低下しています。

 戦車までが登場する異様とも言える警戒体制のため、このフランス版の自由の車列デモは、大事には至りませんでしたが、思わぬところで、違う影響が出ています。

 引き続き、フランス政府は、ワクチン接種の拡大に努め、「偽のワクチンパスポートを所持しながらも、ワクチン接種を希望する人は、起訴されるリスクなしにワクチン接種を受けることができる」と、(悔い改めようとする人には鷹揚な対応)思わず唸ってしまうようなルールまで提示しています。

 いずれにせよ、未だ綱渡りの状況が続きますが、先日発表された「3月末か4月初めに解除される可能性がある」ワクチンパスポートも現段階では、考えられず、「この最終的な措置は、病院の状況が十分に緩和され、正常化された時点で緩和する予定」としています。

 この件(ワクチンパスポート解除)に関してインタビューを受けたカステックス首相も「科学的な見解を得ることが必要である」と答えています。

 暦は立春を過ぎ、春はそこまで来ていますが、パンデミックの終わる本当の春が来るのは、まだまだ先かもしれません。


フランス感染対策規制緩和 ディスコ・ナイトクラブ再開


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