フランスでは、この夏、マルセイユに一風変わったレストランがオープンすることが話題になっています。
そのレストランは、なんとマルセイユにあるボメット刑務所内にあり、一般客向けにも公開される予定になっています。
マルセイユの「ラ・ターブル・デ・カナ」は、3年前から(2019年から)、保護観察中の囚人がさまざまなケータリング業務(コック、ウェイター、ウェイトレス、キッチンアシスタントなど)への従事、厨房での訓練と職業的統合を通じて再犯を防止し、社会復帰の準備をすることを目的として、このプロジェクトに取り組み始めています。
本来ならば、2020年末にオープンする予定であったこのレストランは、パンデミックの影響なども受け、予定が延期されてきましたが、とうとう今年の夏オープンする見込みがたったということです。
刑務所内でレストランをオープンして、一般客向けに公開されるのは、フランスでは始めての試みで、レストラン内の一般客のサービスには、主に刑期を終えた囚人が担当する予定になっています。
刑務所内の希望者は、このためのトレーニング(特に飲食業に特化した研修)を受け、シェフ指導のもと、レストランのメニューに取り組むことになります。
「ラ・ターブル・デ・カナ」では、すでに2019年にボメット刑務所の受刑者8名を対象に6カ月間の料理実習の実験コースを実施、マルセイユの下町にあるココ・ベルテンのレストランで接客のテストケースを実施しています。
2021年12月に、すで工事が開始され、普通のレストランと同じように厨房と40人収容のダイニングルームが設置される予定になっています。
刑務所内から直接アクセスできる場所で、一般客は予約後、身分証明書を送り、犯罪歴等が確認された後にレストランのテーブルに着席することができます。携帯電話は、受刑者、職員、刑務所関係者の安全上の理由から、必ず受付に預けなければなりません。
やや特殊な手続きが必要になりますが、刑務所に対する偏見や閉鎖的なイメージを払拭することも目的の一つとされています。
また、地域社会・連帯経済会議所(Cress Paca)も刑務所側に働きかけ、プロジェクトに参加しています。
一流シェフがサインしたメニューを、シェフ監督のもとに受刑者が腕を振るい、セミガストロノミーのラインと新鮮な旬の食材を使ったメニューが開発されます。
「ボーメ・ Les Beaux Mets」は2022年夏に開業予定で、月曜から金曜のランチタイムのみ営業されます。
ガストロノミーを通じて、社会的・職業的に排除されている人々や雇用から遠ざかっている人々を統合し出所前の支援体制の一躍を担う、この大胆なプロジェクトにちょっと期待するとともに、少々、不安も感じないことはありません。
私は、フランスの刑務所というところを訪れたことはありませんが(日本でもありませんが・・)、フランスでは、生半可なことでは、刑務所に入るということはない印象・・一般客のレストラン予約には、身分証明書の提示やチェック、携帯預かりなどの厳しい制約はあるとはいえ、外部の人とアクセスできることのプラスとマイナスの面をしっかり管理できるのか?と少々、不安でもあります。
しかし、フランス発の試みとして、その実際はまだ見えないものの、マルセイユに行くことがあったら、このレストラン・・ちょっと行ってみたい気もしています。
フランスの刑務所 レストラン ボーメ
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