2022年2月12日土曜日

自由の輸送団(Convoi de la liberté)への政府の大規模な警戒

   


 かねてから、カナダでの同タイトルのデモに触発されてフランスでも起こっている「自由の輸送団(Convoi de la liberté)」のデモがフランス全土から一旦、パリに集結し、ベルギー・ブリュッセルに向かう動きに、パリ市内には、普段は目にすることのない戦車までが出動する物々しい警戒ぶりになっています。

  


 警視庁は、このデモのバリケードのために、特殊機械、クレーン車、バリケード対策用トラクター、レッカー車、投水機を用いて、デモによる都市封鎖を防ぎ、違反者を罰金や逮捕すると発表しています。


 フランスでのデモは日常的なことでありながら、日常のデモは地域ごとにデモを行うのが通常でありながら、今回は、フランス全土からパリに集結してデモを行い、また、カナダの例を真似ていることから、先日すでにカナダの首都オタワで起こったデモ隊によるトラックなどによる都市封鎖が懸念され、一度、パリで集結してから、ベルギーに向かうという呼びかけがFacebookを通じてなされており、金曜日の早朝には、大小様々な約3,300台の車がパリに向けて出発したと見られています。

 このデモのもともとの抗議の主軸は、「ワクチンパスポート反対」ではあるものの、燃料費をはじめとする物価の上昇などの社会的な状況への抗議から、さらには、マクロン政権への避難にまでも繋がっている大きなムーブメントになっています。

 政府は、パリの都市封鎖を防ぐためのバリケードを張るだけでなく、数日前には、政府報道官が「ワクチンパスポートは、3月末から4月には解除できる可能性がある」と発表した上、昨日は、「ワクチンパスポートが必要な場所(公共交通機関などは除く)では、2月28日からマスク義務化を解除する」と発表。

 感染対策のための制限をギリギリまで緩和することで、なんとか今回のデモを沈静化しようとしています。

 しかし、この政府の感染対策の緩和の発表をよそに、このデモ隊がアクションを止めようとしないのは、もはや、「ワクチンパス反対」の抗議に留まってはおらず、その他の社会不安に対する抗議に移行しつつあるということです。

 この騒ぎを沈静化しておかなければ、この反政府への勢いが増長し、火に油を注ぐ状態となり、「黄色いベスト運動」のような大きな動きに取って代わる可能性があります。

 大統領選挙を目の前にして、マクロン大統領は、いかにしてもこの騒動は鎮圧する必要があるのです。

 それにしても、デモの防御のために、デモ前日から、集結場所とされているパリ市内には、戦車やクレーンやトラクターなどの特殊車両がパリを覆い、警察官、憲兵隊など7,200人が警戒体制を取る一種の戦争のような状況になっています。

 燃料費の高騰を訴えるために高いガソリン代を使って地方から車でパリに集結することには、いささか疑問に感じるところもありますが、この抗議に対する防御を国力である戦車まで使わなければならないことにもフランスの怖さを感じます。

 それでも、このデモの警戒はやり過ぎ、「デモの自由を侵害するものだ」とまた別の抗議をする人々もいますが、フランスには、とにかく反発することに情熱を感じ、デモといえば、ここぞとばかりに馳せ参じる一定数の国民がおり、それが決して侮れないものであることも事実です。

 デモに集結しながらも、怒りだけではなく、ダンスをしたり、歌を歌ったり、どこか水を得た魚のように生き生きしている彼らの姿に心底、このようなデモがフランスの文化の一つであることを感じずにはいられないのです。

 これらの人々がパンデミックで鬱屈していたものを一気に発散させるのと同じタイミングで大統領選挙戦が始まっていることもこの異様な警戒ぶりにも繋がっています。


フランス自由の輸送団 Convoi de la liberté France


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