2020年10月9日金曜日

コロナ禍中のフランスの歯医者 ①

 


 以前に治療してもらった歯がぐらぐらしているのが、ず〜っと気になっていました。しかし、ロックダウンから・・、ロックダウンが解除された後も、このコロナ渦中、他の病院はもちろんのことですが、口の中を扱う?場所である歯医者さんに行くことは、なんだかちょっと腰が引けていたのです。

 もう今の家に引っ越して以来、15年以上通い続けている近所の気心の知れたサバサバしている素敵な女性の歯医者さんですが、やはり、歯医者さんであることには、変わりなく、まあ、せいぜいお世話になるのも2〜3年に一度くらいで、できればお世話になりたくない歯の治療・・おまけに歯の治療は、なかなかの出費、保険である程度カバーされるものの、結構な金額になることを思うと、ますます足は遠のきがちになり、いつも、どうしようもなくならないと行かないのです。

 ぐらぐらしていた歯がなんとか持ちこたえてくれていたのに、この感染拡大の第2波の波がグングン大きくなってきてしまった今になって、とうとうポロっと落ちてしまったのです。

 奥歯なので、目立ちはしませんが、奥歯が一本ないだけで、口の中は、荒れ始め、食べることが大好きな私にとっては、口の中の不具合は、この上なく不快でたまりません。

 仕方なく、意を決して、予約を入れて、とうとう歯医者さんに行ってきました。



 入り口には、もはや見慣れたマスク着用義務のステッカーがドーンと貼られ、歯医者さんも助手の人も重装備、マスクにフェイスシールドをしています。(考えてみれば、歯医者さんはいつもマスクをしていますが、フェイスシールドが追加されています)

 室内に入るとすぐに非接触式の体温計で体温のチェックをされて、待合室に入りました。いつもは備え付けられているミネラルウォーターやゴミ箱、雑誌類などは、全て撤廃されていて、待合室で人と出会わすこともありませんでした。

 少しして、診察室へ案内されると、プラスチックの身体を覆うガウンと頭にかぶるキャップをつけてくださいと言われ、マスク、セキュリテソーシャル(健康保険)のカード、支払い用のカード、携帯電話以外の荷物は、お預かりしますということで取り上げられ、少々、心もとない気分で治療が始まりました。

 面倒なことをと思いつつも、これだけ衛生管理に気を配っていてくれることは、やはり安心でもあります。

 しかし、いつも思うのですが、歯医者さんというのは、治療中で、こちらが口を開けているというのに、なぜ話しかけるのか?と思います。こちらは、口を開けたままで、おまけに麻酔を打たれて、口が腫れたような感じで、痛みに耐えながら、もう、おしゃべりどころではないのです。

 顔をライトに照らされて、時々、薄眼を開けながら、痛みに耐え、あの歯の治療独特のギ〜んという音をなんて嫌な音なんだろうと思いながら(あの音がしない機械ができないものかといつも思います)身を硬くして、意識は、半分、遠い感じで、ライトに照らされている歯医者さんの腕に光るブレスレットがキラキラ光って、キレイだな・・などと、ぼんやり思いながら、ひたすら早く治療が終わるのを待っているのです。

 レントゲンを撮ったり、歯の一部を削ったりして、1回目の治療は終わり、全身ぐったり・・支払いのカードの機械の調子が悪く、午後に支払いに来てくれないか?と言われましたが、そのためにまた、出向くことはあまりにバカらしく、こちらの不備でもない事から、次回に今回の分も合わせて払うことにしてもらいました。

 治療が終わって、次回の予約を入れるときに、お医者さんに「ロックダウン中はどうしていたの?」と聞くと、3月半ばから2ヶ月間くらいは、閉めていた・・と、しかし、彼女は、たたみかけるように、「でも、今度、ロックダウンになっても、もう、うちは、閉めないわよ!なぜなら、今は、もう、どうやって、感染回避をできるかがわかっているから・・」と、強めに宣言していました。

 たしかに、病院だってやっているんだから、感染対策さえ万全にすれば、営業は可能なのです。

 そして、私は、着せられていたプラスチックのガウンと頭に被っていたカバーを外して、それを返して診察室を出ると、ちょうど、次の患者さんがやってきたところでした。そこで、私は、思わず、絶句、ちょっと前まで私が来ていたガウンと頭にしていたカバーを次の患者さんに身に着けるように促したのです。

 もしかして、感染回避のために着せられていたプラスチックのガウンと頭のカバーは使いまわしだったのでしょうか??? こういうものは、普通、使い捨てではないのでしょうか??

 最後の最後に不安にかられながら、家路に付き、帰ってからも、それが気になって仕方ありませんでした。念の為、歯医者さんに着て行った服は全て洗濯しながら、次回に行った際に、ガウンを着るように言われたときには、それが使い回しではないかどうか、しっかり確認しなければ・・と、強く思ったのでした。

 これだから嫌だ・・フランス人の衛生観念・・全く、気が抜けません。


<関連>「ロックダウン解除・約5ヶ月ぶりで、かかりつけの医者へ」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_5.html

 


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