2020年10月15日木曜日

パリ、イル・ド・フランスをはじめとするフランス8都市での夜21時以降の外出禁止

                      

          Emmanuel Macron lors de son interview télévisée, dimanche 15 octobre sur TF1.


 フランスのコロナウィルス感染が爆発的に拡大していることを受け、さらに厳しい制限を敷かなければならないと発表していたマクロン大統領が、水曜日の夜に記者会見を行うというので、一体、どんな制限が敷かれるのだろうか?と、ここ数日、フランスのマスコミは、ああでもないこうでもないと大騒ぎでした。

 結果から言えば、感染状況の最も深刻な状況のパリ・イル・ド・フランスをはじめとするグルノーブル、リール、リヨン、エクサンプロバンス・マルセイユ、モンペリエ、ルーアン、サンテティエンヌ、トゥールーズなどの8都市での夜21時以降の外出禁止が発表されました。

 この措置は、10月17日(土)午前0時から最低でも4週間施行されます。

 つまり、夜間のみのロックダウンです。これに違反した場合は、135ユーロ(約1万7千円)の罰金が課せられます。(2回目200ユーロ・約2万5千円、4回目以降は3750ユーロ・約47万円及び6ヶ月以下の禁固刑)

 この取り締まりには、1万2千人の警察官が動員されます。

 可能な限り、経済を止めず、多くの人が仕事を続け、学生生活を送る社会生活を続けるために取れる措置には、選択肢がたくさんあるわけではありません。

 夜9時からの外出禁止となれば、レストランの夜の営業は、絶望的、(フランス人の夕食の時間は、20時あたりが普通で夕食の時間は遅いのです)、その他、映画館、劇場なども夜の営業ができなくなります。

 フランス人の食事は、(特に夕食、特に外食の場合は、)さっと食べるだけ食べて帰るというものではないのです。

 この夜間外出禁止によって、打撃を受けるレストラン等の損失に関しては、政府が保証することも同時に発表しています。

 しかし、このマクロン大統領の会見は、どうにもスッキリしないもので、現在のコロナウィルス感染の第2波は、ヨーロッパ全体で起こっているものだとし、その中でも特にフランスの状態が悪いことにも言及しないばかりか、「ドイツなどもさらなる厳しい制限を取っている」などと説明し、これでは、他の子を引き合いにして言い訳をする子供のような言いようで、しかも、感染状態が悪化しているとはいえ、フランスよりは、圧倒的にマシな状況のドイツのような国を引き合いに出す意味がわかりません。

 しかも、驚くことに、「週末から始まるトゥーサンのバカンスでの地域間の移動は禁止はしないので、節度を持って行動してほしい・・」「学生に対する特別な指導はしない、ただでさえ、困難な状況が続いているのに、これ以上、厳しいことは酷だ・・」と無駄に物分かりがいい発言。

 行動制限をしなければ、バカンス中は、パリを脱出して、夜間外出ができる地域に移動する人たちが絶対に現れ、また別の地域で感染を拡大させるのです。フランス人に節度を持って行動してほしい・・などという呼びかけは通用しません。

 コロナウィルス対策に対して、政府がコントロール不能の状態になっているのでは?というジャーナリストからの質問にも、妙にきっぱり、「我々は、コントロールを失ってはいない」と断言しています。

 コントロールできなかったから、今の状態になっているのではないのでしょうか? 国民が節度を持って行動できないから、制限をしなければならないのではないのでしょうか? 現実をハッキリとは認めずに夜間のみのロックダウンを行う、なんともスッキリしない会見です。

 コロナウィルス感染が長引き、少なくとも来年まで持ち越しそうなことから、コロナウィルスと共に生活しなければならないと強調し、テレワークもできる限りとは言わず、週に2〜3回、家族や友人の集まりも6人までなどと言っていますが、特に現在は、一日の感染者が2万人〜3万人近い状態、ウィルスと共に生きるなどと言っている時期は過ぎています。

 夜間の外出禁止をすることで、一時的に、感染は減るとは思いますが、今、フランスで最も肝心なのは、検査と隔離の問題です。

 政府は、検査をしてから検査結果が出るまでの2日間の期間を問題にしているようですが、これに対して、数分で結果が出る検査が使われるようになるとし、問題が解決されたように話していますが、実際には、検査結果が出た後、陽性であることがわかった人に対しての隔離ができておらず、パリ在住の日本人で、検査の結果、陽性と診断された人が、検査機関の人から、「マスクをすれば外出していい」と言われて、逆に困惑した・・という話も聞いています。

 陽性患者が出歩いているのでは、なんのための検査かわかりません。

 一先ず、この夜間の外出禁止措置を最低でも4週間、もしくは6週間を行い、感染状況が改善されれば、元に戻すとしていますが、このままでは、この外出禁止と解除を繰り返すのみです。

 今回のマクロン大統領の会見は、夜間のロックダウンという厳しめの発表をしたにも関わらず、フランスの現状を明確に認めず、負けず嫌いでプライドばかりが高い、いかにもフランス人なところ、しかし実のところは、あまあまなところが全面に表れている先行き不透明な印象が残る会見でした。

 

<関連>

「フランス人のプライド」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_6.html

 


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