2020年10月10日土曜日

フランスの税金 住民税廃止

                                                                                                                                    



 数年前から、郵便受けというのは、まったくもって、何かが入っていることが、まるでありがたくないことばかりで、入っているものと言えば、何かの請求書か、何やら面倒な書類を提出しなければいけないという通知がほとんどで、家に帰ってきて、郵便受けを覗いて、何も入っていないことがホッとするようになっていました。

 今どき、家族や友人で手紙をくれる人はほとんどおらず、連絡は、全てメールかラインやメッセンジャーなので、郵便受けから嬉しい楽しい便りは、ほとんどと言っていいくらいないのです。

 それでも最近は、そんな通知も大方、メールに移行しています。

 フランスでは、税金に関しても、今は、全てメールでお知らせが来て、オンラインで税金の申告をして、必要事項を入力すると、その場で、概算が出てきて、正式な通知は、後日やってくるので、そのとおりにオンラインで支払うことができます。

 もちろん、希望者は、自分で手書きで記入して、税務署に届け出ても良いのですが、圧倒的に時間と労力がかかる上、ヘタに人の手を介するよりは、間違いが少ないので、私は、もうここ数年は、全てオンラインでの申請に切り替えています。

 以前は、全て手書きで記入して、期限までに税務署に提出することになっていたので、いつまでも、ぐずぐずしている人たちが、山のようにいて、期日前日の夜中、午前0時前には、税務署に多くの人が殺到する様子を、これもフランスの社会の風物詩だとか言って、主人と夜中に税務署に書類を出しがてら、そんな様子を見に行ったこともありました。

 一年に一度は、所得税の申告、そして、もう一度は、住民税ですが、住民税の方は、引越しでもしない限り、特に申告をすることはなく、所得税の申告を元にダイレクトに通知書が送られてきます。

 一度、駐車場を解約した時に、解約したはずの駐車場の分まで住民税が加算されていることを訂正してもらうために、税務署に行ったことがありましたが、それ以降は、ずっとオンラインでの支払いです。一度、メールで通知が来ていたのを見過ごしていて、住民税を払い忘れて、後に、再度、通知が来て、追徴金まで払わされたこともありました。

 全てにおいて、ぐずぐずしていて、トラブルも多いフランスですが、この税金の支払いに関してだけは、まず、漏れなく通知がやってくるのには、どうして税務署だけは、しっかりしているんだろう?と思います。

 そして、今年は、一週間ほど前、国から、「住民税についてのお知らせ」というメールが届きました。

 内容は、「ご存知のように、政府は共和国大統領の要請により、特に主要な住宅に対する住宅税の段階的な廃止により、地方税を大幅に改革しました。具体的には、世帯の80%が、2018年に本拠地の住宅税を30%削減し、2019年に65%削減したことで恩恵を受けました。2020年には、人口の80%が本拠地の住宅税を完全に廃止し、あなたもその恩恵を受けています。この強力な政府の措置を通じて、共和国大統領は世帯の購買力を促進したいと考えていました。マダム、私たちの最高の配慮の保証を受け入れてください。」というものでした。

 何年か前から、住民税が廃止されるという話は、聞いていましたが、いつになることやら、毎年、「え〜??まだ、なくならないんだ〜〜」と思いながら、昨年までは、住民税を払っていました。そして、今年、このメールで、とうとう住民税を払わなくてもいいんだ!とにんまり・・・。

 私の住んでいる地域は、なぜか、住民税は、結構な金額だったのです。(住民税の計算の仕方というのは、詳しくは、わかりませんが、住んでいる地域、また、アパートの広さや窓の数で決められるとのことでしたが・・)

 そして、またさらに昨日、住民税の通知書がメールで届いたので、「へへ〜〜ん!ゼロだよ〜ん!」と思いながら、それでも、色々な手続きに税金の通知が必要になることも多いので、一応、届いた通知書をダウンロードして、パソコンに保存しようとしてファイルを開いて、ビックリ!住民税の通知は、ゼロではありませんでした。

 そこには、金額138ユーロが記載されており、11月16日までに払ってください・・と書いてあります。ゼロだと思っていたのに何??また、何かトラブル?間違い??と思って、ウンザリしながら、よくよく見ると、それは、オーディオビジュアル(いわゆるテレビの受信料)の料金でした。

 数年前からなぜか、テレビの受信料は、住民税に追加されて請求されていて、住民税は、なくなったものの、テレビの受信料だけは、据え置きだったのです。

 フランスでは、テレビを買った時点で、このテレビの受信料請求のために、自動的に税務署に通知が行くようになっていて、この受信料を逃れるために、家族や友人の住所を使ってテレビを買う人もいると聞いたことがあります。

 コロナ以来、やはり、色々な状況が心配で、テレビでニュースを見るようになりましたが、それまでの何年もの間、テレビというものは、ほとんど見ることはなく、ひたすらDVDを見るための機械としてしか使っていなかった我が家では、安くはないこの受信料を支払うことを苦々しく思っていたのです。

 まあ、ともあれ、住民税が今年はなくなって、大変、助かりました。国が言ってきたようにその分を消費に回してください・・と、回したいのも山々ですが、大好きな旅行も今のところ、できそうもなく、外食もできれば避けたいような状況で、家でちょっと贅沢なものを食べるくらいしか思いつきません。

 そして、一見ありがたいこの住民税の撤廃ですが、もともと、決して税金は安くないフランス。この住民税の税収がなくなる分がどこかに加算されていると思うとそうそう気安く消費というわけにもいきません。素直に住民税の撤廃も喜びきれません。

 今回の住民税の廃止は、全体の80%だそうですが、残りの20%については、2023年までに廃止される予定です。


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