2020年10月11日日曜日

1日の新規感染者数2万6千人突破 感染拡大が止まらないフランス


 ここ数日、夜に発表される1日の新規感染者数は、毎晩、想像を上回る数字で、これでもかというくらい驚かされます。まさに思わず息を呑んでしまう・・そんな感じです。

 もう1万人を超えたあたりから、だんだん、もう驚かないな・・などと思っていたのですが、先週の水曜日に1万8千人を超えて、さすがにビックリしたと思ったら、みるみる数字は上がっていき、一昨日は、とうとう2万人を突破・・と思ったら、昨日は、26896 人と、ほぼ2万7千人です。

 もはや数字に対して麻痺してきたと思いつつも、これが1日(24時間)の感染者数ですから、もう、ちょっとどう受け止めたらいいかわかりません。

 他の国と見比べてみても、ヨーロッパでは、もちろん、ダントツ1位、フランスの上を行くのは、もはや、インド(60686人)とアメリカ(31990人)だけです。(1日の感染者数)

 しかし、実際には、アメリカの人口は、フランスの5倍もあり、インドにあたっては、20倍の人口を抱える国で、人口に対する1日の感染者数を見れば、フランスは、事実上、世界一、感染が拡大している国なのです。

 こうして見ると、私は、なんて恐ろしい国に住んでいるんだろうと思います。

 先週から、フランスでは、パリをはじめとする数都市が最大警戒地域に指定され、バーやスポーツジムの閉鎖や大学などに対する制限を強化していますが、そんなそばから、60平米のアパートで若者150人がパーティーで大騒ぎしているニュースが流れたり、バーを閉店しただけでは、追いつかない意識の低い人々の存在が感染を拡大させているのです。

 しかも、こんなに深刻な状況にも関わらず、まだまだ政府の対応も国民の意識も低く、逼迫してきている病院の状況にも、ICU(集中治療室)は、1万床以上拡大できる準備があるなどと発表しています。

 しかし、実際の病院の状況は、すでに入っていた手術の予定を延期するなどの措置を取りながら、病床を開け始めている状況で、他の病気の人を押し退けなければ、病床を増やせない事態。

 昔の日本の映画で、「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」というセリフがありましたが、政府と病院の実態のズレは、まさに、そんな感じなのではないか?と思います。

 実際に、ベッドや機械だけが用意できても、それを活用するには、人手が必要であり、3月から続いているこのコロナの対応で、医療従事者の疲労も不満も募りまくり、慢性的な人手不足の状態。

 その上、日本に住んでおられる方は、「また??」と呆れ返るかもしれませんが、フランスは、あと一週間もすれば、またバカンス(Vacance de la Toussaint)に突入し、現在のところ、政府からは、都市間移動制限の話は、出ていません。

 制限しなければ、必ず、バカンスに出かけるフランス人。何も制限をせずにいれば、今後も感染者記録を3万人、4万人と増やしていくことになりかねません。

 同時に、フランスで、感染回避のために行なっていると思われることでも、間違っていると思われることも、生活のあちこちで見当たります。

 先日、行った歯医者さんでも、診察の際に身につけさせられたプラスチックのガウンや頭につけるキャップが使いまわしだったり、手を洗った後に使うハンドドライヤーが未だに使用されていたり(菌の拡散に繋がる)、地べたに座り込んだり、荷物を平気で地べたに置いたり・・日頃の衛生観念の欠如と緊張感のなさが目につきます。

 今回の感染拡大は、間違いなく、すでに感染拡大の第二波に乗ってしまい、波は上昇を続けていますが、第一波と違って、対処の方法がある程度、わかっているから第一波のような悲惨な状況に陥るとは考えにくい、と政府は発表しています。

 しかし、逆に、第一波がある程度、限定した地域のみの感染拡大であったために、比較的余裕のある地域から応援部隊が飛んで行ったり、患者を移送したりすることが可能だったのに比べて、今回の感染拡大は、広範囲に渡っているため、他の地域から応援に行くということも不可能で、呼吸器等の機械があっても、人手不足のために稼動できません。

 最大警戒地域などを指定しても、実際のところ、社会が動いている状態でのロックダウン時のような緊張感をフランス国民が感じるのは、とても難しいことで、今から思えば、フランスは、ロックダウン解除の仕方を大きく間違えていたと思います。

 今となっては、一度、緩んでしまった緊張感がフランスに戻ってくるのは、本当に医療崩壊を起こすような状況になるか、軍でも出動して、再び取り締まりを行うか、罰則をもっと厳しくするか・・どちらにしても、当分、明るい兆しは難しそうなフランスの雲行きです。


<関連>「コロナ禍中のフランスの歯医者」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/10/blog-post_9.html






0 コメント: