2020年10月6日火曜日

最大警戒地域に指定されたパリ レストランは新しい衛生基準で営業する



 とうとうパリ市及び、周囲3県(オー・ド・セーヌ、セーヌ・サン・ドニ、ヴァル・ド・マルヌ)が最大警戒地域に指定されました。むしろ、先週の段階でマルセイユやグアドループが最大警戒地域に指定された時点で、なぜ、パリが指定されないのか? 疑問なくらいだったので、パリの住民も、恐らく、そのこと自体に驚いた人はいないと思います。

 これにより、1000人以上のイベントが禁止となり、公道、公園等における10人以上の集会の禁止、スポーツジム、プール、カフェ、バー、ディスコの閉鎖されます。(展示会、見本市、サロンなども禁止)

 今回のパリの様々な制限措置の特徴の一つは、大学、大学生についての措置です。これは、現在のイル・ド・フランス(パリ近郊)の 203件のクラスターの40%が学校、及び大学が起源となっていることによります。これにより、大学の授業の参加は、50%に制限されます。(これまでにリモート授業になっていなかったことが驚きですが・・)

 パリの住民10万人あたりの発生率は200を超えていますが、ウイルスが最も活発に循環しているカテゴリーである20〜30歳の年齢層では500を超えています。若者がいかに感染を広げているかがわかります。この数字を受けて、今回は、これまでの規制の上に、特に若者に対しての規制(大学生のパーティー、夜の外出禁止など)が加えられています。

 夜22時以降のアルコールの販売、路上での飲酒も禁止です。夜、若者が飲んで歌って大騒ぎしていましたが、それも禁止されます。当然です。

 恐らく、今回の規制の中で、一番、注目されていたレストランの営業については、前回、一足先に最大警戒地域に指定され、営業禁止(レストラン・バー)となったマルセイユで大反発が起こったこともあり、今回の規制では、パリでは、最大警戒地域となっても、1テーブル最大6人、客の連絡先記録、席での支払い、立食い禁止等の衛生基準を満たしていれば、レストランは営業が許可されることになりました。

 これがもし、前段階でのマルセイユの営業停止の措置がなければ、パリのレストランでのこれらの衛生管理に関する規制には、もっと反発があっただろうと思います。マルセイユの例を見て、よもやパリのレストランも営業停止では・・と多くの人が案じていたところに条件付きではあれ、営業許可が出て、もはや、営業停止よりはマシ・・と、思っているのか、今のところ、それほどの反発も聞こえてきません。

 特に客の連絡先の記録に関しては、フランスでは、客の側もスンナリと受け入れる人ばかりではなさそうですが、そこは、レストラン側もそれをやらなければ営業できないとなれば、何らかの対策をとって、何としてでもやっていくと思います。

 そもそも、ヨーロッパの中でも、ドイツやベルギーなどでは、レストランの利用客の連絡先の記録は、すでに行われていることで、それほど難しいことではないように思いますが、フランス人の国民性から、今のこの逼迫した感染状況にまでならなければ、受け入れられにくいことだったかもしれないとも思います。

 何かにつけて、とりあえず反抗する、この連絡先の明記にしても、プライバシーだの何だのと文句をつけるフランス人が目に浮かぶようです。しかし、今回ばかりは、レストラン側も後には引けないので、ゴネる客がいても、何とか説得するでしょう。

 フランス人は、何か新しいこと、例えば、こうすれば、もっと便利になるのに・・とか、もう少し工夫してみれば・・などと新しいことを提案したりしても、すぐに、「セ・コンプリケ!(ややっこしい!)」と却下しがちです。そんなに複雑だと思えないことでも、すぐに、「セ・コンプリケ!」・・。

 彼らは、習慣を変えることが嫌いで、いちいち抵抗します。とにかく自己主張することを美徳とするフランス人にとっては、抵抗することが彼らのプライドを支えているかのようです。

 今回のコロナ対策では、習慣を変えなくてはならないことがたくさんで、フランス人には、新しく対応しなければならないことがたくさんあって、(別にフランス人だけに限ったことではなく、どこの国でも新しい生活を強いられているのですが・・)、一見、言いたいことを言って、ダイナミックに見えても、基本、保守的なフランス人には、ことのほか厳しい事なのかもしれません。

 しかし、ロックダウンまでして、せっかくおさまりかけていたコロナウィルスの感染をまた、悪化させてしまったのも彼ら自身、ダメな学校の校則がやたらと厳しくなるように、フランスでの規制もどんどん厳しくなっていきます。

 しかしながら、感染が悪化すれば営業停止、少し改善すれば、また営業・・を繰り返していれば、このサイクルは永久に続いてしまいます。なんとか、この厳しくなった規制に順応して、この悪循環を断ち切ってほしいものです。

 現在のところは、本来なら、特別に規制しなくても、自主規制ができるはずのことですが、規制されなければできない、ちょっとデキの悪い子供のようです。

 この新しい規制のもと、フランス人もこれからコロナと生きる新しい生活に少しは慣れるようになって、「やれば、できる子なのよね・・」と言えることができるようになってくれればいいなと思っています。

 それでも、この感染下で、経済活動が少しでも止まらないように、会社はリモートワーク推奨に留められています。

 これらの規制は5日から、とりあえず15日間、10月19日まで続けられます。

 

<関連>「フランス人のプライド」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_6.html




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