パリオリンピックのトライアスロン等の水泳競技を行う予定であるセーヌ川の水質汚染については、この計画が発表されて以来、常に注目され続け、今年の4月初旬の段階で、未だセーヌ川の水質が水泳競技を行えるほどには改善していないことが指摘され、イル・ド・フランスは、「雨天時の衛生網を改善する作業が4月と5月に開始され、浄水場の消毒装置を稼働させることによりセーヌ川の水質はオリンピックでも維持される」と釈明していました。
さらにはその後、その釈明を支えるかのごとく、マクロン大統領は、オリンピックの前には、「自分がセーヌ川に泳ぎに行く!」と公言したことが話題となっていました。
また、5月初旬のセーヌ川の浄化のために落成したオーステルリッツの貯水池落成の前後には、これでセーヌ川の水質改善に大きな一歩が進んだとし、アンヌ・イダルゴパリ市長は、「私は、6月23日にセーヌ川で泳ぎます!」と、日にち指定で予告していました。
この発言の際には、彼女より前にセーヌ川で泳ぐと宣言していたマクロン大統領は一緒に泳ぐのか?などという声も上がりましたが、この時には、マクロン大統領は、このセーヌ川での水泳大会?については、日程を発表することはありませんでした。
オリンピック聖火がもう到着し、現在はフランス国内を周遊中であり、まさに、もうオリンピック開催までの導火線に火がつけられている感じの現在、パリ近郊イヴリーヌ県にある浄水場のポンプが故障し、5万リットルの汚水がセーヌ川に流出するという事態が起こりました。
この故障の原因は堆積した廃棄物(天文学的な量のおしりふき、生理用ナプキン、タンポンなど)だそうで、この場所では年間1,400万立方メートルの廃水を処理しているところを今回の事故により、現段階では5万リットルの汚水がセーヌ川に流出してしまったことが確認されています。
この5万リットルの汚水がセーヌ川全体の水質汚染にどの程度、影響するかは、わかりませんが、5月初旬に落成したと言われていたオーステルリッツの貯水池もまだ稼働していないそうで、控え目に言っても、現在のセーヌ川の水質は、2ヶ月前に比べて改善されている可能性は、かなり低いと考えざるを得ないのが、自然だと思われます。
この水質の問題に関しては、天候もまた、大きく影響する(大会開催側は、オリンピックが開催される夏の期間は「強い日差し、少ない降水量、長い日照時間、少ない川の流れ」となる川の状況も異なるものであり、水泳は可能である)と釈明していましたが、あいにく、パリ近郊は、あいにくのいつになく雨の多い天気がずっと続いています。
この大会をセーヌ川で行うためには、大腸菌と腸球菌の濃度が 1,000 コロニー形成単位、つまり大腸菌では 100 ml、腸球菌では 400 cfu/100 ml を超えないようにすることが不可欠で、さもなければ、水泳選手が結膜炎、胃腸炎、ブドウ球菌に罹患する危険があると言われています。
この際、マクロン大統領やパリ市長が泳ぐかどうかではなく、オリンピック選手が泳げるかどうかという現実問題がすぐそこに差し迫っているのです。
6月1日からは、毎日、水質検体が採取され、悪い結果が検出された場合はキャンセルされます。その場合、トライアスロンは水泳競技なしの「デュアスロン」となり、10キロ自由形は削除されることになると、選手らは懸念しています。
まだ、結果が出たわけではありませんが、どうにもヤキモキさせるこの計画です。どちらにしても、このトライアスロンの選手には大変にお気の毒なことです。
セーヌ川に5万リットル汚水流出 パリオリンピックトライアスロン
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