もはや出生率の低下は珍しいニュースではなくなりました。だいたい、もう15年連続の減少(フランスの場合)ともなれば、そもそもの母数がすでに減少しているのだから、子どもの数が増えるはずはありません。
2024年にフランスで生まれた赤ちゃんは66万3千人で、2023年よりも2.2%減少し、2010年と比べると、21.5%減少しています。
2024年、フランスの女性1人あたり1.62人の出生率(2023年は1.66人)となっており、毎年のように歴史的に低いレベルの出生率といわれ、それを更新し続けているのですから、第二次世界大戦とか1945年以来の低水準と言われることに変わりはありません。
しかし、私は、これまでこの出生率の低下しか見ていなかったのですが、フランスの人口は、2025年1月1日時点で6,860万人となり、0.25%とはいえ、増加しており、この人口のグラフを見ると、少しずつではありますが、年々、増加しています。
はて?それでは、フランス人の寿命が延びたせい?などと安易に思いきや、この死亡率は少しずつですが、上がっており、この死亡者数の増加は、かつてのベビーブーム世代が死亡率の高い年齢に達していることに起因していると言われています。
現在、フランスの平均寿命は、女性が85.6歳、男性が80歳というあたりで安定しています。たしかに平均寿命が延びている結果、2025年1月1日現在では、住民の21.8%が65歳以上になっています。
ともかくも、出生率は低下し、死亡率は上昇している中、なぜ?フランスの人口がわずかずつでも増加しているのでしょうか? それは、高齢化が進む一方で寿命が延びていることもありますが、その大きな理由は、「移民」です。
「移民」は、外国から入ってくる人々で、入ってくる人々と同時に出ていく人々もいるのですが、入ってくる人が出ていく人を上回っているということです。
これは、2023年のデータになりますが、2023年には、730万人の移民がフランスに居住しており、これが総人口の10.7%を占めています。そして、移民の34%にあたる250万人がフランス国籍を取得。フランス国籍まで取得しているとなると、もはや移民とはいえ、フランス人ということで、どういう括りになるのかは、疑問でもあります。
移民に対しては、度々、議論になるところですが、私自身も移民の一人。しかも外国籍の移民なので、大口をたたくことはできませんが、今さらながら、出生率の低下を移民で補うというのは、こういうことなのか・・とあらためて数字を見て、考えさせられるのでした。
フランスの出生率15年連続減少 移民増加
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