INSEE(国立統計経済研究所)の発表によると、これまでも減少し続けていたフランスの出生率は、2023年にさらに大幅に減少し、前年と比較して6.6%減少し、第二次世界大戦以来の70万人(1年に生まれる赤ちゃんの数)を下回り、67万7,800人にまで落ち込み、戦後もっとも新生児の数が少なくない記録的な数字を打ち立てています。
これは、出生数が最後にピークに達した年である2010年よりも、ほぼ20%減少している数字で、女性1人あたりの子どもの数は1.68人になりました。
また、この低下は2024年の出生率においても、止まらないようで、最低記録はさらに更新されるようです。
しかし、フランスは、それでも欧州連合諸国の平均(女性1人あたりの出産数1.46人)よりは高い出生率なのですが、出生率の減少率(ー6.6%)は、欧州平均(ー5.5%)を上回っています。ということは、フランスの出生率は他の欧州諸国に比べて少子化のスピードが上昇しているということになります。
これまで、フランスについては、3人の子どもを持つ家族が多いことが特徴であったと言われており、事実、娘のクラスメイトたちの家族には、圧倒的に3人きょうだいが多かったのです。これは、少子化対策の一遍として、政府が行っている税制優遇措置のためで、子どもを持つ・・しかも、3人目からは特に税制優遇のステップがグッと上がるというもので、これが功を奏していた結果です。
しかし、現在では、3人目に至る前の段階の問題で、いくら3人目からが特に税制優遇措置が大きくなっても、だいたい一人あたりの出産が1.68人では、この優遇を受けるまえの段階なわけで、これでは、違う的に対してボールを投げ続けているようなもので、税制的には、別の対応策を考えなければならないのかもしれません。
もう長く続いている出生率の減少から、そもそもの出産適齢年齢の女性が減少していることも大きな原因のひとつです。
この急激な減少には、近年のインフレや将来への不安が起因しているだけでなく、この年齢層の女性(男性も)の「願望の変化」ということも指摘されており、物質的に豊かな生活を送ることや、父親や母親になる以外に自己実現が可能になったということも要因のひとつとして、挙げられています。
ちなみに少子化といえば、モデルケースとしてしばしば挙げられる日本については、1人の女性が一生のうちに産む子どもの数(合計特殊出生率)は、1.20人ということで、やはり、かなり先を行っているようです。
しかし、これまで知らなかったのですが、日本のさらに先に行くのは、韓国で0.81人となっているようです。
近年、フランスでは、少子化対策として、二十歳前後の女性への不妊検査の無料化などの不妊症対策に加えて、卵子自己保存キャンペーンなどまで行っていますが、肝心なところは、若者の将来への不安を軽減するというもっと基本的なことなのではないか?とも思っています。
フランスの出生率激減
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