2024年11月2日土曜日

お墓参りで毎回、思うこと・・

  


 世間では、最近では、フランスでもトゥーサン(万聖節)というよりは、ハロウィン色が強くなってきていますが、私は、毎年、この時期くらいは・・とお墓参りをする習慣になっています。

 我が家の墓地は、夫が亡くなったときに、まだまだ本人もずっと先のことだと思っていたでしょうが、机の裏側に少しだけ書きかけの遺言のようなものが張り付けてあって、その中に、墓地は、家から一番近い墓地に埋葬してほしいというようなことが書いてあったので、夫の希望どおりに家から一番、近い墓地にしました。

 夫は自分の両親のお墓は、なんだかやたらとお金をかけて、自分の兄の家の近くに建てたので、当然、そこに一緒に埋葬してほしいと思っていると思っていたら、そうではなかったことが、意外でもありました。

 きっと、寂しがり屋だった夫は、できるだけ来てもらいやすい場所を選んだと思うのですが、もうここ最近では、せいぜい、このトゥーサンの時期か、もう一回くらいしか、行かなくなってしまいました。まったく冷たいことです。

 夫が亡くなった直後(埋葬後)は、本当に私自身も身の置き場がない感じで、お休みのたびに毎週のように娘を連れて、お墓に行っていました。トゥーサンなどの特別な時期以外の墓地は、あまり若い人はいなくて、けっこう高齢の人が多いので、私たちは、とても、異色な存在だったと思います。

 今では、正直、当時のことは、ぼんやりとしか思い出せないくらいになりましたが、あまり感情表現が激しい方ではない私が、夫の埋葬の時には、後にも先にも、人生の中であれほど取り乱したということはないというくらいに大声で泣き叫び、恥ずかしながら、「私も埋めて~~!」と泣き叫んだことだけは覚えています。今から思うと娘には申し訳なかったし、埋葬に立ち会ってくれた人々は、きっとドン引きだったと思います。

 まだ10歳だった娘はそんな母親だったからか、妙に冷静で、「きっと墓地の高い壁を越えて、ママの声が外にいる人にまで聞こえたと思うよ・・」などと言われて、ハッとしました。

 週末ごとのお墓参りは、どのくらい続けていたのかも、今ではあんまり覚えていませんが、その後、少しずつ、一人での子育てと仕事の日常に忙殺され、だんだん足が遠のいていきました。

 それでも、この時期は、周囲のお墓も華やかなお花でいっぱいになるので、誰も来ないお墓は、寂しそうで可哀そうだ・・とこの時期だけは、必ず行くようにしています。

 前もって、鉢植えのお花を買っておいて、当日にお墓に行って、夫に心の中で話しかけながら、ひととおりお墓を掃除して、お花を供えてお祈りとお願いをしてきます。

 「久しぶりだね・・元気だった?いやいや、元気じゃなかったから死んじゃったんだよね・・」と毎回、同じことを繰り返していることに苦笑しつつ、私の近況や娘の近況を報告し、「これからも私たちを見守ってね・・いつになるかわからないけど、そのうちに行くからね・・」とお願いして、帰りに「じゃあ、またね!」と言って帰ってきます。

 このお墓の墓石に名前を掘ってもらうときに、一応、二人分の名前が掘れるように、スペースを調整して夫の名前は掘ってもらったので、私がもしもフランスで死んだら、ここに入れてもらうように娘には頼んでいます。

 私は、お墓というものは、自分自身は全くこだわりがないので、(なんなら捨ててくれてもいいくらいだけど、そういうわけにもいかないだろうから・・)、日本にいるときに死んだら、両親が入っている実家のお墓に入れてもらうのでもよいし、一番、簡単な方法にしてね・・と言ってあります。

 本当に偶然ではありますが、夫の命日は、トゥーサンの日のすぐあとで、彼が亡くなったときも、トゥーサンのバカンスが終わった直後だったことを覚えています。

 今は、娘も義理の息子たちも遠いところに住んでいるので、恐らく私の他には、誰も来ないと思われる夫のお墓なので、せめて、私くらいは行ってあげなくちゃ・・と思うのです。

 実際に、もう長いこと誰も来ない、来られないのか、もう苔が生えているようなお墓もあります。歳をとってくると、病気とお墓の話題が多くなるなどと言いますが、とりあえず、私は、フランスでも日本でもお墓の心配はありません。


トゥーサン お墓参り


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