夫は、まだまだ自分が死ぬと思ってはいなかったのでしょう・・、遺言のようなものは、残しておらず、ただ、いつかは書こうと思っていたのか? 「お墓は家から一番近いところにしてほしい」というメモのようなものが自分の机の裏に貼ってあったのがみつかり、彼が亡くなった時には、希望どおりに家から一番近い墓地に埋葬しました。
家から一番近いところに入れてほしいということは、できるだけお墓に来てほしいということだったんだなぁ~と思ったし、実際、彼が亡くなった当初は、毎週のようにお墓に通っていました。とはいえ、歩いて行くと15分から20分くらいはかかる中途半端な距離なのです。
市内にある市営墓地なので、おのずとそのようなこともおこるとは思うのですが、彼のお墓の隣に来ていたわりと年配の女性は、比較的、近所の方で、彼女も同じ年にお姉さんを亡くしたばかりということで、顔を合わせれば、ちょっとお話をしたりするようになり、お墓にもご近所づきあいのようなものができることに、こんな不思議な繋がりっていうものもあるもんだ・・と思ったものです。
彼女はもう引退されているようで、毎日、散歩がてらに来ているらしく、「お宅のお花にもお水をあげているわよ・・」と言ってくれていました。
あの頃は、もう行き場のない気持ちをお墓参りをすることで、なんとか気持ちを落ち着けるようなところがあったものの、時間が経つにつれて、お墓参りにも滅多に行かなくなり、最近では、せいぜい、一年に一度か二度くらいになりました。
それでもトゥーサンの時だけは、墓地は、華やかなお花に彩られるため、誰も来ないお墓になってはかわいそうで、必ず行くようにしているのですが、ここ数年、お花が供えられているお墓はグッと減った印象があります。
今年もトゥーサンの季節がやってきて、前もって買っておいた鉢植えをかかえて、お墓に行ったところ、なんと、入口が閉まっていて、愕然としました。
「いくらなんでもトゥーサン(みんながお墓参りをする日)にお墓を閉めるなんてあり得る?」と動揺し、「はて?どうしよう?」と焦って中を覗いてみると、中に人はいる模様。それでも、あきらめきれずに私が中を覗いていると、中にいる人々が遠くから、「あっちから!あっちから!」と身振りで知らせてくれました。
墓地にはいくつか入口があって、私はいつも家から歩いて行くので、一番、家から近い方面からの入口を利用していたのですが、よりによって、みんながお墓参りに来る日に閉めるとは・・お墓に来るようになってから10年以上、(いや、15年くらい・・)が経っていますが、今まで、こんなことは一度もありませんでした。
結局、正面口しか開いていなかったようなのですが、お墓の敷地内に入るとすぐに管理人?さんが数名いたので、「どうして、むこうの入口閉めちゃってるの?」と聞くと、「キャラバンの輩たちが、水を汲みに来たり、お墓を荒らして行ったりするようになったから・・」とのこと。
キャラバンとは、ジプシーというか、キャラバン(中型のバンのような車)で移動しながら生活している人々のことで、そのために、お墓の入口を一つにしてしまわないと、管理しきれないのだと嘆いていました。
お墓は、夕方には閉まってしまい、夜の間は入れないようになっているので、彼らが来ているのは、昼間の時間帯ということなのでしょうが、それにしても、こんな事態は初めてのことで、移民?問題がこんなところにまで押し寄せているのか?と、ちょっとゲンナリしてしまいました。
移民といえば、私自身も移民であることには違いないので、あまり大きな口をたたける立場でもないかもしれませんが、私は一応、合法的に暮らしているわけで、彼らと同じように扱われるのは心外ですが、しかし、移民が溢れているフランスではやはり、お墓まで荒らされる深刻な問題になっています。
日本の岸田首相は、最近、「外国人と共生する社会を考えなければならない」などと言っているようですが、たしかに、まったくシャットアウトすることはあり得ないとは思いますが、移民の入国の枠を緩めれば、必ずしも歓迎できる人ばかりが入っているわけでもなく、そんなに生易しい話ではありません。充分な対策や規制を設けなければ、フランスのように、いやそれ以上に大変なことになってしまいます。
首相、底辺層の外国人たちをなめてかからないほうがよいです。
移民問題
<関連記事>
「トゥーサンのお墓参り フランスのお墓のこと 夫が亡くなった時のこと」
「2023年に提案される移民法の改正案の概要 積極的な受け入れと追い出しの両刀使い」
0 コメント:
コメントを投稿