フランスにいると、私はなぜだか、知らない人に話しかけられる機会が多くて(ナンパとかではなくて、たいていがおばちゃんたち)、それに慣れるまでは、なんだかそれが怪訝な感じがしていたのですが、今ではすっかりそれに慣れてしまい、知らない人に話しかけられても、あたりまえのようにその話にのって、一緒に話し始めるようなこともけっこうあって、いつのまにか、そんな日常が心地よいようになっています。
ところが、日本に来ると、知らない人に話しかけられるということは、まずなくて、なんだか皆がそっけなくて、冷たいような気がして、それが物足りないというか、どこか寂しい気がしてしまう自分に気付いて、苦笑してしまいます。
まあ、日本だと、私が主に滞在しているのは、実家のある東京なので、そもそも、パリとは規模も人の数も全く違い、パリに比べると何倍も大都会なわけで、そんな場所では、たくさんの人がすごい速度で行き交っているわけで、そんな場面、場面でパリのようなことが起こるわけもないのです。こうしてあらためて書いてみると、つまりは、地方から来た人間が都会に怖気付いている感じでもあります。
まず、人と目が合うということがないのも、不思議といえば、不思議な話で、これだけ大勢の人がいる中で、電車の中などでも、まず人と目が合わないというか、みんなが人と目を合わさないようにしていると感じるというのが正直なところ・・。
パリなら、電車の中などで、知らない人とふっと目があったりして、にっこりしてくれたりすることがあるのに、にっこり以前に目を合わせないようにしているのが日本人・・というより東京の人なのかもしれないな・・などと、思うのです。
私は生まれも育ちも東京で、実際に以前はそのように生活していたはずなのに、違う環境に慣れてしまうとなんだか、それがしっくりこないというか、今さらながら、冷たい印象を受けてしまうというのも妙な話ですが、事実です。
実際に、もっと小さい、人と人との距離が近い地方都市から東京に来られた方は、今の私のように、東京の人は冷たいとか、たくさんの人がいても孤独に感じるとかいうのが、こういう感覚なのではないだろうか?とそんなふうに思うのです。
この間、家電量販店で買い物をしていた時のこと。どういう経緯だったのかは、わかりませんが、ちょっと離れた場所で、初老の男性が転んで倒れてしまったらしく、それに周囲の人々が気がつかなかったのか?気が付いたのに周囲が知らん顔をしていたのか、どちらかは定かではありませんが、遠く離れた場所からも、その男性が転んだゴツンという鈍い音が聞こえたと同時に、その男性が、一人では起き上がれなかったのか、それとも誰も近寄ってこなかったことに腹をたてたのか?「この店は、客が転倒しても、知らん顔か!」と怒鳴りちらして、店内が異様な雰囲気に包まれました。
さすがに、その男性が騒ぎ出したので、数名の店員さんが駆け寄って行きましたが、周囲の人々は、遠巻きに眺めているだけで、手を差し伸べる人はいませんでした。ここでパリだったら・・などとパリを比較の対象に挙げることは、適当ではないかもしれませんが、あえて・・、パリだったら、すぐにどこからともなく、瞬時に数名のお助けマンがあらわれるところなのにな・・と思ってしまうのです。
人と目を合わさないだけでなく、他人との距離を極力縮めない・・そんな感じがしてならないのがとっても寂しいです。
だからどう・・というわけではないのですが、フランスでさえ、地方に住んでいるフランス人は、「パリの人は冷たい」とか、「人間が住むところではない!」などクソミソに言われていることには、驚きですが、やはりパリから東京に来てみると、「都会の人は冷たい・・」などと思ってしまうのも妙なものです。
他人
<関連記事>
「派手にぶざまに転んだら、周りの人たちが、とっても優しかった・・」
0 コメント:
コメントを投稿