2023年11月9日木曜日

フランス政府が導入する繊維製品修理ボーナス

  


 フランス政府は昨年の11月に電子機器・家電製品修理ボーナスシステムを導入し、すでにこのサービスが開始しています。これは電子機器・家電製品の寿命を長くし、廃棄物を削減することが目的に導入されたシステムで、6年間で4億1千万ユーロ割り当てられている、かなり、大きな試みで、修理にかかる費用の一部(製品によって、10ユーロから45ユーロ)を政府が負担してくれるというものです。

 正直、今年、我が家は電化製品の故障が続いておこり、真夏の盛りに突如、冷蔵庫が壊れ、それから少ししてプリンターが壊れるという災難?に見舞われましたが、その時には、この電気製品修理ボーナスのことなど、すっかり忘れており、また、たとえ、覚えていたとしても、事態は急を要し、修理に来てもらって直してもらうことを待っていることはできません。

 例えば、冷蔵庫にしてみれば、急に冷蔵機能がストップしてしまったのですから、中にある食品は、真夏のことゆえ、放置しておけば、どんどん腐敗していくわけで、ある程度、自分でネットなどで調べた結果、もうこれはダメだ!と判断して、すぐに新しいものを買いに行き、翌日には配送してもらえるように頼んできたのです。

 これがもし修理するとなれば、冷蔵庫を自分で電気屋さんに持っていくことは不可能で、まず、修理屋さんに来てもらわなければなりません。このような人に来てもらうだけでも、相当な金額がかかり、また、その予約も直ぐにとれるとは限らず、そのうえ、予約がとれたところで、その予約どおりに職人さんが来てくれる保証もなく、そのうえ、見てもらった挙句に結局、修理不可能となっても、職人さんの出張料金は支払わなければなりません。

 現在のところ、冷蔵庫の修理には25ユーロの補助金が出るということになっていますが、かなりの確率で、大幅に足が出るのはほぼ確実なので、このような大きな家電製品の場合は、実際のところは、あまり現実味がない気もしています。

 今回、政府が発表している繊維製品修理ボーナスについては、この家電製品修理ボーナスに続く、第二弾となる「洋服や靴」に関するもので、家電製品に比べると、こちらの方が利用する人は多いのではないかと思われます。

 そもそも、フランスには、この衣服のお直し、修繕のお店というものは、けっこうあるもので、気を付けて街を歩いていると、こんなところにもお直しのお店があるんだ・・と思うことも多く、けっこう洋服が吊るされていたりするところを見ると、もともと利用者は少なくないのかもしれません。

 消費者はこれらの修繕の代金を政府が援助する金額を差し引いた金額で支払うことができるシステムになるそうで、縫い目のほつれの修理が6ユーロから、ジャケットの裏地の交換や革靴のソールの張り替え25ユーロまでが政府の負担となりますが( これには他にも十数種類の価格が含まれている)、この政府の負担分が修理費用の 60% を超えることはできない仕組みとされています。

 私自身は、これまで洋服の修理を頼んだことはないのですが、以前、務めていた会社には、このお直しを引き受けている女性が御用聞きのように会社に出入りしていて、けっこう、多くの人が修理を頼んでいました。

 もともと、堅実(悪くいえば、ケチ)なフランス人、古いものを長く大切に使うという習慣があるようで、この洋服や靴に関する修理ボーナスはけっこう多くの人に受け入れられるのではないか?という気がしています。

 靴のソールなどの張替えは、私も何度か頼んだことがありましたが、最近は、もはや靴らしい靴を履くこともあまりなく、もっぱら運動靴ばかり履いているので、運動靴の場合はソールの張替えというわけにもいかず、今回もあまり個人的には、恩恵に預かれない感じです。

 とはいえ、廃棄物を削減していこうとする試みを政府が先導して行うというのは、環境問題への取り組みとしては、よいことであると思いますが、その分だけ、新しい製品の売れ行きが低下する可能性も大いに考えられ、ZARAやユニクロなどは、店舗でこのお直しを受け付けるというサービスにも参入し始めています。

 この繊維製品修理ボーナスには、2023年から2028年までに1億5,400万ユーロが投入されるそうです。


繊維製品・靴修理ボーナス


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