2023年11月23日木曜日

あり得ない再会

  


 これまで日本に帰国して、友人と会うことは度々あっても、その友人不在で、その家族と2人で会うことなど、想像したことがありませんでした。

 しかし、今回、初めて、そんなケースが私には訪れて、なんだか、「こんなことってあり得ないよな・・」と、受け入れ難い気持ちでした。

 今回のケースは、数ヶ月前に突然、届いた、ちょっと信じ難かった訃報に端を発したもので、そもそもその友人が突然、亡くなってしまったことが信じ難いことで、若者とは言わないまでも、大して私とも歳が離れておらず、彼女は悠々と、誰よりもストレスとは無縁の生活に見えていたし、マイペースな生活を崩さない人で誰よりも長生きすると思っていたので、余計にちょっと想像すらつかない出来事でした。

 私がその訃報に接したのは、彼女が亡くなって数ヶ月後のことだったし、お参りもできなかったので、次回の帰国の際には、なんらかのカタチで彼女の死と向き合う機会を持ちたいと思っていたのです。

 結果、彼女の夫と二人で食事でもしましょうということになり、出かけたのです。

 しかし、これまで、彼女の生前には、幾度となく、彼女の家にお邪魔したり、家に泊めていただいたりしたこともあったので、彼女の夫とは、面識もあり、話をしたこともあったのですが、あくまでも、私は彼女に会いに行っていたわけで、彼女なしに彼女の夫と会うなど、想像すらつかなかったことでした。

 たまたま、私が彼女と最後に会って食事をした時に(ほんの数年前)、彼女の夫も一緒についてきていたので、以前よりも印象はあったので、今回のようなことになっても、そんなに抵抗はなかったのですが、やはり、実際に対面してみると、彼女なしでは、やっぱり全然、違うわけで、ますます、なんでこんなことがあり得てしまうんだろうか?と、私自身、まだまだ彼女の死を受け入れられていないことを痛感したのでした。

 しかし、彼女の発病から最期までの様子をあらためて、聞いてみると、どうやら、彼女は、そもそも、それまで検査らしいものをしたことがなく、いざ、闘病となっても、かなりの覚悟をもって、手術や抗がん剤などのクォリティ・オブ・ライフを損なうものは拒否し、周囲にも病気のことは、告げずにいたことを知りました。

 彼女の遺言で、葬儀等は、一切行わず、死後、遺体を家に戻して、2日間だけ家にいて、その後は、家から火葬場に直行したとのことでした。

 彼女の両親はすでに他界しているのですが、ご存命のお兄様にさえ、全てが終わってからお知らせしたということでした。

 死の迎え方というのは、人それぞれでよいと思うので、彼女は最期の最期まで、マイペースを全うしたと思われ、彼女の遺言らしい遺言は、彼女のお嬢さんに対しての「パパのこと、お願いね・・」という言葉だけだったそうです。

 そもそも、人と群れることが好きではなかった彼女らしい選択に、儀礼的なことは一切、省いて、家族に見守られて・・という形は、一般的ではありませんが、彼女の意に沿ったものであり、これもまた、悪くないかもしれないとも思ったのです。

 しかし、そもそもは、彼女の夫の方が先にガンを発病し、手術をしたりしていたために、夫の側からしたら、当然、自分の方が先に逝くものと思っていたところ、あっさり彼女に先を越されてしまったために、そのショックは計り知れないもので、どうにも痛々しいなか、「もう少しで、やっと相続手続きが終わりそうだ・・」などと、話していました。

 家族を亡くしたばかりの人に対して、この相続手続きの期限はかなり短いといつも思うのです。

 彼女自身もほんの少し前に、お母様を亡くしており、彼女は、この時の相続手続きをしてから、まだそんなに時間が経っていませんでした。まるで、それが彼女を素通りするようなことになってしまい、ふたたび、このような事態。数年に一度の割合で、あのややこしい相続手続きに追い立てられ、おまけにその度に、税金を支払っているのですから、本当に気の毒でしかありません。

 しかし、彼女自身は、自分の病気が宣告されたあとも、極めて肝がすわっていた感じで、ジタバタなど全くせずに、ある程度、自分の病気を受け入れ、緩和ケアのみでギリギリまで家にいたということで、そんな彼女の姿を聞いて、自分の場合もまた、ジタバタせずにいられるように、常に死については考えておく必要があるんだな・・と思わされました。

 私は、そんなに友達が多い方ではないかわりに、その一人一人との付き合いはかなり密であるため、想像以上に彼女のいなくなり方に、私は、影響を受けそうな気がしています。


自分自身の死の迎え方


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