2023年5月23日火曜日

もしも彼らが生きていたら・・移り変わる家族環境

   


 今、私の友人の多くは介護とまでは言わなくとも、高齢の親を抱えていて、なかなか自由に旅行したりすることができないという人が多いのです。私の友人には、なぜか独身か、結婚していても子供がいないという人が多く、日本の少子化を現状を物語っているような感じがしますが、それでも、彼女たちにはなかなか自由は訪れないようです。

 私の世代では、20代後半から30代にかけて、親からの「早く嫁に行け!結婚しろ!」プレッシャーはなかなかなものでしたが、もう親も歳をとるにつれ、それがぴったりと止むどころか、逆にいつのまにか「行ってほしくない」に変わっていたのです。

 なので、親子(母娘)二人暮らしという人も結構、いて、親子関係にもよるでしょうが、母親にとったら、高齢になって、娘と二人暮らしというのは一番心強いのだとも思いますが、さすがにその娘の方もかなり年齢を重ねていくと、体力的にも精神的にもきつくなることがあるようです。

 私の母が亡くなったのはもう17年前のことで、そんな友人のぼやきを聞いても、今でも親が生きていてくれるなんて羨ましいと思ってしまうのですが、今後、必ずやってくる親を見送る時が実際に自分が体力的、精神的に衰えた時にやってくるのも、それはそれで、さぞかし辛いことではないか?と思ったりもします。

 それと一緒で、結婚している友人は、相変わらず夫の生活にびっちりと合わせて生活している様子が垣間見れて、こっちの方は、夫を失って、シングルの生活に慣れきってしまっている私には、夫の死後、否応なしに仕事と娘の生活には合わせてきたものの、娘も独立した今、人に合わせて生活するということが、窮屈そうに見えてしまうこともあります。

 しかし、天気の良い日に公園などを老夫婦が仲良く手を繋いで散歩していたりする様子をみるにつけ、羨ましいな・・今も夫が生きていてくれたら私も夫と仲良く手を繋いで散歩でもしてみたかったな・・と思ったりもするのですが、日々の生活の毎日には、仲良く手を繋いで散歩するだけではないだろうと、ちょっと捻たことを考えたりもします。

 これまでに、夫が生きていてくれたら・・とどれだけ思ったことかわかりませんが、そんなことは言っても仕方のないことでもあるし、生きていたら生きていたで猛烈にケンカしていたかもしれません。

 特に夫は比較的、年齢も若く、現役中に亡くなってしまったので、夫の退職後の生活というものを私は体験しておらず、今、もしも生きていたら、そろそろ定年退職を迎えていたであろう生活はまるで想像がつきません。

 フランス人だけあって、初めて定年退職のポイントの通知(現在、何ポイントで満期になるまであと何ポイントとかいう予定表のようなもの)が届いた時には、大喜びで、「やっぱりこの人、フランス人だわ・・」と呆れたのを覚えていますが、結局、彼は定年を迎える前に亡くなってしまったので、亡くなってしまった時には、あんなに定年を楽しみにしていたのに・・と思ったくらいです。

 夫は定年退職後のことをよく語っていて、定年になっても、まだしばらく働くつもりだとか、日本に住みたいとか、ジンバブエに住みたいとか、わけのわからないことを言っていましたが、結局はどれも実現はしませんでした。

 最近はよく、同年代の日本人の女性がつぶやいている、子供が独立して、夫が定年になる生活が苦痛・・というのも、それまでの生活の仕方や夫婦関係にもよるだろうし、それこそ、人それぞれだとは思いますが、一般的には概して日本人男性の方が大変そうだな・・と勝手なことを思ったりもしますが、いずれにしても、私としては、自分が体験できなかったことでもあり、そんなボヤキも含めて羨ましいと思ってしまうのです。

 両親にしても、夫にしても、もしも、彼らのうち誰かひとりでも生きていたら、私の生活は全然、違うものになっていたと思うと、自分が選べることではありませんが、周囲の家族の状態というのも大きく人生を左右するものには違いなく、今は自分は自分に与えられた状況をできるだけ楽しく快適に過ごせるように心がけるのみと思っています。


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