2023年5月19日金曜日

14年間、存在を隠されていた14歳の少年

 


 14年間にわたり、14歳の少年がその存在を隠された状態でいたことが発覚し、世間を騒然とさせています。昨年の7月、体調を崩した少年を母親が病院に診察を受けに連れてきたことから発覚したこの事件、少年が14歳という年齢にもかかわらず、体重が25キロしかなく、知的発達に遅れがあったことから不審に思った病院が警察に警告を発し、この少年は14年間、かかりつけの医者というものももたずにきたでなく、一切、学校というものに行っておらず、社会とは隔絶された家の中で母親とともに生活していたことがわかりました。

 かかりつけの医者を持っていないという人は最近、増えているとは聞いていましたが、その存在すらも隠され、学校にも通わせずに社会生活から一切隔絶されているというのは、ちょっと尋常ではありません。

 最近、たまたま読んでいた小説が出生時に親が届けを一切、出さずにいて、戸籍がないままに育ってしまった少年の話だったので、「小説みたいな話!」と余計にびっくりしました。

 もしかしたら、出生届もでていない?と思いきや、この少年は国外で誕生しており、出生した国のフランス大使館に出生届は提出されていたとのことで、戸籍?がない状態ではありません。

 しかしながら、幼少期にフランスに戻ってきてからは、彼女の母親は息子の存在を隠し、外の世界とは遮断した状態で彼を育ててきたようです。体重が25キロしかなかった・・というので、虐待?とも思いきや、母親は自分の息子は自分で教育する・・という信念?のもとに彼を育ててきたと言っています。

 14年間、子供を家に閉じ込めたまま、その子供が体重25キロと聞けば、どう考えても毒親で残酷な鬼畜のようなイメージを持ってしまいますが、なんと彼女は堂々と顔を出して、これが私の教育方針だというようなことをテレビのインタビューで答えており、また、想像に反して、柔和な感じの印象の人なのも驚きでした。

 しかし、出生届まで出ているにもかかわらず、義務教育である学校にも行かせず、医者にもほとんどかかることなく、幼児期に必要な予防接種等も受けずに生活することが可能なのか? 市役所などからのチェックはなかったのか?と、とても疑問ではありますが、出生届が海外の大使館で出されて、その後、ずっと家から出ない、周囲の人とは接しない生活をしていれば、もしかしたら、そんなこともありえるかもしれません。

 以前に、娘が小さい頃、「あの家は、子供を学校にやっておらず、子供に教育を受けさせていない!」などと嫌がらせの通報をされたことがあり、そんなことは、学校へ行って調べてくれればすぐにわかること、学校どころか、公文やお稽古事と大変、忙しい思いをしているのに、とんでもない話だと憤慨したことがありました。

 ごくごく、普通にその存在が周囲に知られていれば、あの子は学校に行っていないようだ・・というようなことはわかり、誰かしらが通報したりすることもあるとも思うのですが、そもそも存在自体が知られていない場合、こんな状態で放置されていることもあり得るのかもしれません。

 しかし、数年に一度?くらいの割合で忘れたころに世帯調査のようなものが回ってくるので、それでチェックができそうな気もしますが、世帯調査の子供の欄に学校に行っているかどうか?を記載する箇所があったかどうかは記憶していません。

 ですから、嫌がらせにせよ何にせよ、存在が知られていれば、そんな風に通報する人はいるもので、14年間、学校にも行かせずに生きてきたとなると、よほど、家の外に出さなかったのではないかと思います。

 0歳からの14年間という時間、社会生活で学ぶべき時間を奪われた子供の時間は戻りません。とりかえしのつかないことです。

 この母親は、身柄を拘束、拘留され「子供の健康、安全、道徳や教育を損なう親の法的義務の回避行為、および15歳未満の未成年者の健康を損なう食事やケアの剥奪」の罪で起訴されました。

 今後、裁判が開かれることになりますが、彼女には、最高で懲役7年、罰金10万ユーロが課せられる可能性があります。



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