2023年5月21日日曜日

G7開催の広島へ来たゼレンスキー大統領 彼はなぜフランス政府の航空機で来たのか?

  


 G7(先進国首脳会議)が広島で開催され、当然、マクロン大統領もこれに参加するために訪日しています。

 現在の世界情勢の中でのG7の開催地が広島であることは非常に意味深く、世界への平和を議論する場としては、ベストチョイスであったような気がしています。

 フランスでもこの広島という地を1945年8月6日にアメリカの原爆が投下された過去を持つ、現在では平和の象徴となっている場所として紹介しています。

 マクロン大統領は、すでに前日に到着していたアメリカ、イギリス、ドイツ、カナダ、イタリアの首脳たちに合流するカタチで当日早朝に訪日しました。

 その時点では、フランスでは、特にはこのG7において、マクロン大統領(フランス)が主張したい内容について、報じていました。

 今回のG7においては、ウクライナについての問題だけではなく、アメリカと中国の緊張の高まりについて、また、気候変動問題についてなどの危機が重なりあう状況で開催される非常に重要な場であるとし、フランスは「アメリカの中国への対立的なアプローチに同調しないように他の欧州諸国に積極的に呼びかける」と発表したマクロン大統領の談話などを紹介していました。

 マクロン大統領はこの中国の立ち位置、中国への対応について、多くの面において、単に対立するのではなく、協調と要求を同時に行っていくことをG7で提案していくと語っています。

 しかし、翌日になって、騒ぎになったのは、当初はリモートでG7に参加すると発表されていたゼレンスキー大統領がフランス政府の航空機で日本に到着したことが話題の中心にのぼりました。

 エリゼ宮は、このゼレンスキー大統領の来日のための航空機要請は、ウクライナ側からの要請によるものであり、アメリカも彼の移動手段については、準備があったにもかかわらず、彼はフランスに要請した・・というようなことを言っています。


 絵的にも、リパブリック フランセーズという大きな文字が刻まれた航空機が日本に到着して、ゼレンスキー大統領が飛行機から降りてくる様子はフランスのウクライナへの連帯を全世界に知らしめた大きなアピールであったと好意的に評価されています。

 先週から勢力的にヨーロッパを訪問していたゼレンスキー大統領は、数日前にパリにも来ていたばかり、その時点で、すでにG7への参加について、航空機の提供については、織り込み済みであったようです。

 ゼレンスキー大統領の移動に使われたのは単なる政府の航空機ではなく、フランス空軍所属の航空機であり、ヨーロッパ間の移動と異なり、長時間フライトで危険度も増すことから、核所有国であるフランス空軍の航空機であることは安全確保のために必要であったとともに、ゼレンスキー大統領とマクロン大統領の緊密な信頼関係のうえに成り立っていたと言われています。

 この航空機は、フランス空軍機であるとはいえ、マクロン大統領の渡航に使われる大統領専用機とほぼ同じ仕様のものであるそうです。


 今回の航空機は、フランスを出発し、ポーランドへ向かい、ゼレンスキー大統領を乗せて、サウジアラビアへ送り、彼はアラブ連盟首脳会談に参加し、その後、日本へというルートをとった模様です。

 しかし、今回はG7ということで、やたらと注目されていますが、ゼレンスキー大統領の移動にフランスの航空機が使われているのは初めてのことではなく、先週の訪仏に際してもドイツからの移動にフランスの航空機が提供されているようです。

 ともかくも、今回の広島訪問は、G7加盟国だけでなく、ブラジルやインドなどの首脳などとも一度に対面で会談できる機会でもあり、これを最大限に利用できる場であると言われています。

 最近は、たいていのことは、リモートで済んでしまうような気になっていますが、やはり実際に対面するかどうかは、人と人との繋がりにおいて、説得力は各段に違い、とても大切なことなんだと思わせられています。


G7 フランス政府専用機


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