このあいだ、パリ市内のバスに乗っていて、ある停留所に着いたところで、降りていく乗客を待ち構えているRATP(パリ交通公団)の検札の一団がいて、ヤレヤレ、最近は降りようとしているところを待ち構える作戦に切り替えたんだな・・でも、検札やっている様子を見かけたら、切符やNavigo(定期券のようなもの)を持っていない人、つまりキセル乗車をしている人は、そのまま乗り過ごせば検札を避けられちゃうんだろうな・・と思っていたら、さすがにそれは甘い話で、その停留所で降りる人のチェックがすんだら、今度は、その一団がバスの中に乗り込んできて、検札を始めました。
しかも、それが6人組くらいの一団で、一台のバスにしたら、かなりの大所帯、彼らが検札をしている間は、バスは停車状態で、平日の午後のそんなに乗客も多くない時間帯で、その時は結局は、私の乗っていたバスにはキセル乗車をしていたらしい人は全くおらず、バスの中を一回りするとRATP(パリ交通公団)の一団は降りていきましたが、ものすごい威圧感でした。
バスやメトロの検札、いわゆるキセルチェックは時々、見かけることがありますが、バスの場合、終点の停留所で待ち構えていたかと思うと、今度は私服に近い二人組のやたらと感じのよい女性が乗り込んできて、これまた本物のRATPの職員?逆にお金をまき上げるための詐欺ではないか?と疑っでしまったりと、パリ交通公団も手を変え品を変えと言う感じでキセル対策を行っています。
しかし、それにしても、バスのキセル乗車チェックのためにこんなに大所帯の職員いる??と思ってしまうのです。
そもそもバスに乗る時には、通常は運転手のいる前の入口から乗るのが普通で、乗車時に切符を買うこともできるにはできますが、最近Navigo(ナビゴと呼ばれるチャージできる定期券のようなもの)がほとんどで、切符を使っている人は少なくなりました。
Navigoの場合、機械にかざしてチーンと音がして終わりなので、人に紛れて乗車して、このチーンをやらなくても、また、切符を持たずに乗り込んでしまっても、その一人一人を運転手さんがチェックするのは、かなり難しい話で、また、注意をすれば乱暴したり、運転手に暴力をふるったりする人もいかねません。
またフランスならではの分業制?、運転手の仕事は運転することでキセル乗車のチェックは運転手の仕事ではないなどとも言いだしそうでもあります。
インフレの波は公共交通機関にも及んでいて、今年に入ってから、パリのNavigoは一年で10ユーロ近くも値上げし、ひと月あたり84.10ユーロ(約12,500円)になり、切符(バス・メトロ共通)は1枚2.1ユーロ(約310円)になっています。
インフレにつれてスーパーマーケットでの万引きも増加し、キセル乗車も増えているのかもしれないので、検札を強化するのもわからないではありません。
しかし、先日起こったメトロのホームで、コートが挟まったまま電車が発車したために起こった悲劇的な死亡事故などを考えると、バスのキセルチェックに大所帯を動員するなら、駅のホームに1人ぐらい駅員を配置してもいいんじゃないか?とも思うのです。
結局、安全性よりも、お金をしっかり取り立てる方に注力しているような気がして、どうにもバランスが悪い気がしてしまうのです。しかし、要は駅のホームに安全チェックのための職員がいないことがおかしいとは思わない・・あれはたまたまの不幸な事故だったと片付けられている節があります。
私は最近の日本の事情には疎いのですが、そもそも都内でバスに乗ってキセルチェックなどしているところを見たことがありません。
要はパリは、運転手が乗車時にチェックしきれない、うっかり注意すれば運転手に危険が及びかねない治安の悪さに加えて、待ちきれない乗客は出口からでも平気でバスに乗ってしまったりもするので、収拾がつかないので、こんなキセルチェックが必要になったりもするのです。
こういうところが民度の違いといってしまえばそれまでですが、バスのキセルチェックに6人もの大所帯がやってくるのを見るにつけ、どこか殺伐とした気分になるのでした。
パリのバス 検札 キセルチェック
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