約2週間ほどまえのこと、パリのメトロ8号線のラ・モット・ピケ・グルネル駅で年配の男性がバッグを背中に背負いなおそうとして、バランスを崩したのか、線路に転落するという事故が起こりました。
パリ市内のメトロは路線にもよりますが、平日は、だいたい3~4分に1本の割合で電車がやってくるので、もしも、この時間帯に線路に転落したりした場合、そのタイミングにもよるとは思いますが、かなり急いでホームに這い上がらなければ、次の電車が入ってきてしまう可能性が高く、非常に危険です。
パリのメトロのホームは、路線によっては、線路とホームの間に落下防止のためのガードの壁が取り付けられている路線もありますが、そうでない路線もけっこうあり、この8号線などは、恐らく、どこの駅にもガードはありません。
にもかかわらず、ホームには、駅員はおらず、このような事故が起こった場合は、考えてみれば、RATP(パリ交通公団)は、どう対処するつもりでいるのだろうか?と思います。
今回の事故では、男性が線路に転落して、すぐに近くにいた女性らが叫び声をあげて、すぐに人だかりができたとのことで、その中をたまたま居合わせた男性2人が即座に線路に飛び降りて、落ちたまま呆然としていた年配の男性をホームに持ち上げると、ホームにいた周囲の人々が救急隊を呼び、この救世主の男性2人は、ふたたび群衆の中に消えていったと言われています。
ホームに転落した男性は、頭部外傷と脊髄損傷を負い、その後、パリ市内のジョルジュ・ポンピドゥー病院に搬送され、数日前に再び歩けるまでに回復したと言います。
この応急処置をした医師は、いつ次の電車が来るともわからない線路に飛び降りて、負傷した年配の男性をリスクを冒してまで救いながら、さりげなく群衆の中に消えていった2人の男性の行為を称賛しており、また、救われた男性も心からお礼を言いたいと、その2人を探しているそうです。
私は、ここまでの救出劇には遭遇したことはありませんが、本当にフランス人は、このような時、本当に困っている人に対して、とても親切でさりげなく手をかしてくれます。
バギーで赤ちゃん連れの人などが、階段の前などにいたりすれば、どこからとなく、男性があらわれて、何も言わずに、手を貸してくれ、バギーを持ち上げてくれ、また、振り返りもせずに、あたりまえのように群衆の中に消えていくのです。かっこいいではありませんか?
しかし、このニュースが流れるまでは、知りませんでしたが、メトロの線路のレールは、750ボルトで通電されているそうで、線路に落ちるということは、落下するというだけでなく、別の面でもとても危険なことなのだそうです。
RATPは、線路上に人が落下した場合は、それを見つけた人は、全てのプラットフォームにある緊急端末に向かい、黄色いアラーム信号でRATPエージェントに連絡する必要があり、緊急用ハンドルで線路の電力を遮断することができるようになっているそうです。
パリのメトロは治安は悪い反面、窮地に立たされている人に対しては、とっても優しい人がどこからとなく、表れて、あたりまえのように助けてくれるところは、フランス人の優しさで、いつもすごいな・・と思います。
メトロ8号線 線路転落者救出劇
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