オリンピック期間中は平和だったかに見えていたパリのメトロの中で、一人の男がユダヤ人の女性及びその家族を攻撃する暴言を吐き、つばを吐きかけるという事件が表沙汰になりました。
事件は、早朝のメトロ9号線の車内で起こり、一人の男がユダヤ人に向け反ユダヤ主義的攻撃を続けていたところ、この女性は、恐怖を感じつつも、勇敢にも携帯で撮影しながら、「黙りなさい!やめなさい!と言いながら、この男が暴言を吐き、彼女たちを攻撃し続ける模様を撮影し続け、警察に苦情を申し立てる!」とその言葉どおりに彼女は本当に警察に告訴状を提出しました。
イシー・レ・ムリノー警察署(オー・ド・セーヌ)はこの女性からの告訴状を受理し、この男は現在、指名手配されています。
直接、本人には関わりのないことで侮蔑を受けたりすることがあり得ないことではないパリではあり、実際に、コロナウィルスが発症したばかりの頃に、中国がその拡散元であったことが公になり始めた頃、いわれのないアジア人差別が沸き起こったことがあり、私自身は、直接そのような被害に遭ったことはありませんでしたが、アジア人が人々の嫌悪の攻撃の対象となったこともありました。
今回のユダヤ人への非難や攻撃は、明らかにハマスとイスラエルの問題が影響していると思われ、この被害者の女性の撮影した動画の中で、この男は、「あなたたちは子供を殺している」、「あなたたちは人道に対する罪を犯している」、「ヒットラーは正しかった、君たちは皆、命を奪われなければならなかった・・」などと物騒なことを叫んでいます。
メトロの中にはこのような直接的な侮辱行為ではなくとも、時々、おかしな人をみかけ、なんとなく、怖いな・・と思うこともありますが、パリでも多くの場合は、皆、なんとなく気にしつつも見て見ないふりをしているのがふつうです。また、パリのメトロの車内は比較的狭い場合が多いので、このような明らかにおかしな人物がいた場合は、恐怖感も大きく感じられると思います。
若い女性ながら、ものすごく勇敢な女性だ・・と感心していたら、実にこのような反ユダヤ主義的な攻撃は1,200件以上も報告されており(ハマス・イスラエル問題以来)、内務大臣ジェラルド・ダルマナン氏は、2024年上半期だけでも「887件の反ユダヤ主義行為」が記録され、これは昨年の同時期のほぼ3倍であると述べています。
争いがまた別の場所で争いを呼び、放置すれば、エスカレートしかねないこの争い。私だったら、このようにののしられても、黙って我慢してしまいそうなのですが、もしかしたら、この女性、これが初めてのことではなかったのかもしれない・・度重なれば、自分たちの命も危険にさらされるという危機感を覚えていたのかもしれません。
メトロ内での侮辱行為
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