2024年8月17日土曜日

フランスの新首相候補の女性 ルーシー・カステッツ 

  


 オリンピックムードの盛り上がりで、一時の騒ぎが嘘のように搔き消されてしまった感のあるフランスの首相任命、新内閣の組閣問題がそろそろ、取り上げられるようになってきました。

 そういえば、マクロン大統領は、ガブリエル・アタル首相からの辞表は受理したものの、オリンピックを滞りなく行うことにまず注力するということで、首相の任命はオリンピックの終わる頃に発表するとしていました。

 そして、フランスでは、大いに盛り上がったパリオリンピックのために、国民のこの内閣組閣への関心も少し逸れた感じもあり、マクロン大統領自身もオリンピック後半になってくると、中継されている試合の会場には、「えっ?マクロン大統領また来てる?」と思うほど足しげく、オリンピックの試合会場に姿を見せており、私が言うのも何なのですが、「仕事してる?」と思うほどでした。

 そして、オリンピックは一応、無事に終了して、一息ついたかと思われるようになった今、ようやく、そういえば、首相はどうなった?とばかりに首相任命問題が取りざたされ始めました。

 どうやら、フランスの次期首相は、ルーシー・カステッツという女性を第一党となった新人民戦線(NFP)が推しており、マクロン大統領もこれに依存はないようで、8月23日には、各会派の議長や党指導者らをエリゼ宮に招き、話し合いを行ったうえ、首相任命の運びとなるようです。

 このルーシー・カステッツという女性は1987年生まれの37歳(さすがにガブリエル・アタル氏には負けますが、やはり若い!)、パリ科学院(通称シアンスポ)、国立行政学院に学び、上海のフランス総領事館(文化武官補佐)勤務を経て、世界銀行のマネーロンダリングおよびテロ資金供与対策部門のコンサルタント、秘密金融回路、マネーロンダリング、テロ資金供与との戦いを担当する諜報機関である Tracfin、パリ政治学院で経済学教授など、若いながらに、多くの職責をこなしてきた才女のようで、財政、金融に強い人のようです。

 経歴を聞くだけでも、かなりの秀才ぶりがうかがえますが、これに加えて、彼女は約10年間テニス、そしてハンドボールやテコンドーもやってきた、かなりのスポーツウーマンでもあるようです。

 まだ確定情報ではないようですが、マクロン大統領の側近の話として、「それが集団的な要請であり、NFPの政治勢力が意見交換が建設的なものになるのに有益であると判断するのであれば、大統領は明らかにそれに反対しない」、「マクロン大統領は、ルーシー・カステッツを首相に迎える準備はできている」と報道されています。

 しかし、あくまでも負けず嫌いのマクロン大統領らしく、彼自身は、「誰を首相に据えること以上に議会の多数派を築くことが大切である」と語っているようで、その点においては、ルーシー・カステッツ氏もRN以外の国会議員に書簡を送り、「NFPの枠を越えて議会の多数派を築くよう説得する」つもりであると説明しています。

 どちらにしても、もうあっという間に8月も半ばを過ぎ、あと2週間ほどで、もうフランスは新年度が始まり、新たにやらなければならないことが山積みなはず。

 マクロン大統領にしても、さすがにもうこれ以上は引き伸ばせないギリギリのタイミングなのだと思います。

 新年度になれば、皆がバカンスから戻り、学校も始まり、仕事も再開するとともに、フランスではデモも再開されます。

 フランスの首相は、大統領が任命するというカタチになっているし、日本の首相とはまた、位置づけが異なります。このルーシー・カステッツという方がどんな感じの方なのかはまだよくわかりませんが、とりあえず、それが37歳の女性らしいというだけでも、ずいぶんと違うものだな~と思っているのです。


フランス新首相 ルーシー・カステッツ


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