フランスDREES(調査研究評価統計局)は、フランスの自発的妊娠中絶の件数が記録的な水準に達していると発表しました。
フランスにおける自発的妊娠中絶(中絶)件数は2023年に24万3,623件で、この数字は 2022 年と比較して 3.6% の増加に相当し、1990年以来最高の数字で、1,000人あたり16.8人の女性が中絶を経験している計算になると言います。
フランスは、その前の段階の「25歳以下の女性への避妊ピルの無料化」や「18歳から25歳までの若者への薬局でのコンドーム無料提供(実際には、社会保障による100%払い戻し)」などの避妊対策も積極的に行ってきました。
ピルなどの避妊薬に関連する費用は、既に2013年から、15歳から18歳の少女に対して、そして、また、2020年8月からは、15歳未満の子供に対しても国民健康保険で100%カバーされてきました。
そして、この避妊薬の無料化により、その後5年間の期間を経て、この該当年齢の少女の人工中絶の割合を1,000人あたり9.5人から6人へと大幅に減少させることに成功したとその成果を発表したりもしていたのです。(2023年には、1,000人あたり16.8人という割合に増加している)
しかし、フランスは、同時に妊娠中絶についても、「中絶の権利」が法律で認められており、2022年には、この法律は、中絶の権利の強化を目的として、中絶へのアクセスを改善するためにいくつかの修正が加えられています。
この修正された内容の一部には、中絶法的期間を妊娠12週から14週に延長したことや、薬による中絶の規制期限を妊娠5週目から7週目まで延長することなど、少なくとも外科的処置が必用となる前に薬で中絶できるという、中絶へのハードルが低くなったことも、この中絶の増加に繋がっているのかもしれません。
DREES(調査研究評価統計局)によると、2023 年の中絶の 79% がこの薬によるものであることについても銘記しています。報告書はまた、無月経 12 週間後に行われる後期中絶が病院介入の 9.5% を占めていることも強調しています。
不妊症に悩む人も多い中、中絶の件数が増加していることは、皮肉なことでもあり、また、決して喜ばしい話ではないと同時に、女性が必要なときに中絶を受けられる自由の結果として、進歩としても捉えなければなければならないと説明しています。つまり、増え続ける中絶件数は、フランスでは中絶へのアクセスが決して妨げられていないことを証明しているというのです。
このような記録的な数字を前に、女性が中絶を受ける経済的、社会的、家族的背景を理解することが急務であり、悪化し続ける人口動態(出生数の減少と中絶件数の増加)の中で新政府が考慮しなければならない課題であるとしています。
フランスの妊娠中絶
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