フランスでの慈善活動の大きな柱の一つとなっているエマウスやアベ・ピエール財団を設立したアベ・ピエールの50年以上にもわたる性加害・性暴力事件が表沙汰になったのが、今年の7月の半ば頃のことでした。
アベ・ピエールは、貧しい人々の救世主的な存在であっただけに、この性加害・性暴力の犠牲者がこの貧しい人々や子どもたちであったことは、さらに衝撃的な話でした。また、これまでも被害者が訴え出たことが少なからずあったにもかかわらず、この財団内で揉み消しのようなことが行われ続け、公にならなかったことも問題を長期化、深刻化させたとして、大きく問題視され、現在のアベ・ピエール財団の代表は、この問題に対して、激しい怒りを表明し、独立した調査委員会を立ち上げ、問題追及、事態の解明に努めることを宣言していました。
最初の暴露から、ほぼ2ヶ月後、財団は、さらに17件の新たな被害者の証言が認められ、アベ・ピエール財団の名称を変更し、アベ・ピエールが埋葬されている村、エステヴィル(セーヌ・マリティーム県)にある記念碑を撤廃することを発表しています。
なんといっても、アベ・ピエールはすでに亡くなっているため、本人を告発することはできませんが、このさらなる17件の証言では、「胸への一方的な接触」、「強制的なキス」、「強制的なフェラチオ」だけでなく、「弱い立場の人への性的接触の繰り返し」、「性的挿入の繰り返し」、さらに「子供との性的接触」などの、なかなか重たい内容で、報告書では、50年近くこの行為が続けられてきたとしており、被害者女性は、子どもから成人までに及び、本人が90歳を過ぎて、車椅子で生活するようになっていた時でさえも続いていたとされています。
これらの証言によると、被害は1950年代にまで遡り、そのほとんどはフランス国内で起こったことでしたが、時には米国、モロッコ、スイスなどでも被害が報告されているとのことで、もう言葉を失う感じです。
アベ・ピエール財団、エマウス・フランス、エマウス・インターナショナルは「犠牲者に対する全面的な支援」を再確認し、証言者の勇気に敬意を表し、彼らの味方であることを保証することをプレスリリースで発表、サポートシステムは年末までオープンで利用可能であるとしています。
しかし、逆に、50年も続いたこの性加害行為に対してのサポートシステムが、年末まで利用可能・・ということは年末にはクローズしてしまうとは、どういうことかと思ってしまいます。
日本のジャニーズ問題は、今、どうなっているのかわかりませんが、長い間、内部で隠蔽されてきたことや、生前は、やたらと本人を奉りあげるような感じがあったり、その実、本人がやってきたことは、えげつないことこのうえなくて、また、アフターケアーや補償についても、どうにもすっきりしないことまで、なんだかよく似ているような気がします。
そのうえ、アベ・ピエールに関しては、慈善事業の創始者・カトリックの司祭というのですから、つくづくウンザリさせられる話です。
それでも、彼の作った貧しい人々を助けるためのこの団体やエマウスなどの仕組みは、今でもフランスの中で機能し続けているもの・・、とはいえ、今となっては、おぞましさしか連想できないこの彼の名前の入った団体名を変更するとのことで、それは当然と思いつつ、これまた、ジャニーズを連想させるのでした。
アベピエール
<関連記事>
「エマウス(フランスの慈善団体)の創始者 アベ・ピエールからの性的暴力が発覚」
「リサイクルショップ・エマウスがノエル前に繁盛しているフランスの一面」
「世界が首をかしげる日本のマスコミ ジャニー喜多川性加害問題」
「俳優ジェラール・ドパルデューのレジオンドヌール勲章剥奪とマクロン大統領の発言」
「続々と浮かび上がる有名人の性加害への告発 今度は、フランスのトップ精神分析医ジェラール・ミラー」
「現在フランスで起きているMe too ラジオ番組人気司会者の性加害告発続々浮上」
0 コメント:
コメントを投稿