フランス公衆衛生局が発表したフランスの過体重と肥満に関する調査によると、過去20年間でフランス人の過体重、肥満が急増しており、これは、過去に例をみない増加傾向であると警告しています。
これは、身長と体重の割合をもとに計算するBMI(ボディマス指数)を用いたもので、体重(kg)/ 身長(m²)の数字が25~30の場合を過体重、30以上の場合を肥満と定義しています。
今回、フランス公衆衛生局が問題視しているのは、過体重と肥満以上に関するケースについてですが、BMI 30以上の肥満に関しては、1996年には男性の7%、2016年には14%を超えるまで増加しましたが、その後2017年には13%に戻りました。女性の場合、肥満は増加し続け、 1996年には 6%を下回っていましたが、2017 年には 14%に達しています。
現在では、フランスでは2人に1人近くが過体重であり、17%が肥満であると言われているのです。
保健当局は、過体重と肥満が主要な病気(心血管疾患、糖尿病、特定のがん、早期死亡などの非感染性疾患の主要な危険因子)のリスクを構成するものであるため、予防政策を強化する必要があると警告しています。
肥満の原因は、座りっぱなしのライフスタイルの増加、身体活動の減少、ジャンクフードの増加などが挙げられていますが、貧因、社会的に恵まれない人々の間では、ほぼ4倍、肥満が多いというWHOの報告もあります。
また、この増加傾向には、男女差が認められ、ある時点で男性の増加は止まり、一定の数字を維持していますが、女性の肥満は、増加し続けているという結果も注目すべき点の一つでもあります。
この要因として、女性特有の体質的な要素、閉経期に女性に変化が生じる可能性があること、ストレス、内分泌かく乱物質、特定の人々の体重増加につながる生物学的メカニズムもたしかに理由として挙げられることも事実ではありますが、体質的なものは、以前と比べて、特に変化しているとはいえず、女性がより肥満増加傾向にある理由とは認めにくいような気もします。
これは、フレンチパラドックス(フランス人が、相対的に喫煙率が高く、脂肪が多く含まれる食事を摂取しているにも関わらず、冠状動脈性心臓病にかかることや肥満体型が比較的少ない学説から生まれた造語)などと言われ、比較的高カロリーのものを摂取しているにもかかわらず、肥満が少ないと言われており、私も不思議に思っていましたが、その説は、もはや微妙になりつつあるということです。
しかし、過体重程度はともかく、極端な肥満体型の人は、あまり見かけない気はするのですが、フランスでも地方に行くと、比較的、ふくよかな人が多い気がする(私の個人的な印象ですが・・)ので、パリジャン・パリジェンヌは、フランスの中では肥満は少ない方なような気もします。
とはいえ、日本に行ったりすると、特に思うのは、日本人の若い女の子が華奢なこと・・細~い!痩せてるな~!とビックリする反面、こちらでは、食事時間外など、小腹がすいたの?と思われるような時間帯に、若い女の子がクロワッサンなどのヴィエノワズリーなどをかじっているのを見かけることが多くて(決して太り過ぎではないけど・・)、若い女の子が間食にクロワッサンとは・・カロリー気にしないのかな?などと思うことはあります。
フランスでは、健康に気を付けて!の決まり文句みたいに「1日、5つの野菜、果物を!」と言いますが、日本人の私からしたら、たった5つ??とずいぶん、ハードルが低く思えます。
しかし、この肥満の増加はインフレも影響しているのでは?とも思います。バランスの良い食事、健康的な食事・・を摂ろうと思うとなかなかお金も手間もかかります。
ましてや、フランスの美味しいもの、バターやチーズやパン、ヴィエノワズリー、生ハムやフォアグラ、パテなどなど・・もうハイカロリー食品のオンパレードです。そして、これらのものが、比較的、お手頃価格で手に入りやすいものであるということは、やっぱり肥満には絶好の土壌なのです。
そういう私は、家では、ほぼ日本食とはいえ、面倒になると、ついつい簡単に手に入るものに走りがち・・こうして警告を鳴らしてくれることは、自分への戒めとして、受け止めます。
フランス人の肥満急増
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