フランスにいる以上、ある程度、フランスの政情を知ることは必要なことでもあり、また、フランス人の間では、政治が話題にのぼることも多く、まるで、その知識がないことは、恥ずかしいことだとも思っています。
たとえ、私には、選挙権がなくとも、フランスで起こる数々の紛争や争いごとなども、政治が関わっていることも多く、その原因を理解しようとすることは必要だとも思っています。
とはいえ、これだけ、色々なことが起こり、どんどん世の中が変わっていくなか、日々、このフランスの政治、情勢に関わるニュースを追っていくことは、私にとっては簡単なことでもなく、しかし、同時にフランスの政治の動きを見ていると、政治に関心を持つことは楽しいことだとも思うようにもなりました。
同時に日本の政治の動きも少しは見ているので、それと比較して、色々と考えることもあります。
とはいえ、フランスの政治に関するニュースなど、私が把握しきれる登場人物は、その時々の大統領、首相、主要官僚などで、とてもその全てを把握しきれてはいません。
そんな中で、極めて、ミーハー的な観点から、私は、今回、辞任を発表したブルーノ・ル・メール財務相は、なかなか素敵な人だな・・と思っていました。個人的な好みではありますが、これまでフランスの政治家で、素敵な人だな・・と思ったのは、シラク共和国大統領の事務総長を務められていたドミニク・ドゥ・ヴィルパンという方で、ずっと、「カッコいい!あの人が大統領になったら、いいのに・・」と思っていました。
一度、彼がサンジェルマン・デ・プレで家族と歩いているところに出くわしたことがあるのですが、圧倒的なオーラで思わずその家族全体のたたずまいに見惚れてしまったくらいでした。
そして、ドミニク・ドゥ・ヴィルパン氏が政界からいつの間にか、姿を消したあとは、このブルーノ・ル・メール財務相がどことなく、雰囲気が似ていて、素敵な人だなぁ~と思っていたのです。
今回、彼が辞任するというので、彼の経歴を見ていたら、なんと、彼は政界入りした当初、ドミニク・ドゥ・ヴィルパン氏の首席補佐官を務めており、なるほど、なんとなく雰囲気が似ているのは、そういうことだったんだな・・とハッとさせられた思いでした。
正直、彼の政治的手腕はもちろんのことですが、それよりも、どことなく育ちが良さそうで、賢明で、話し方、立ち振る舞いがとてもエレガントであり、冷静で、という極めて、曖昧な理由です。
ブルーノ・ル・メール氏は、直近までは、経済・財務・産業・デジタル担当大臣を7年間担ってきました。現在、内閣が解散し、首相はようやく決まったものの、内閣人事は発表されていない現在、多く(約半数)の大臣は留任を希望する中、彼は、22年間の政治の世界に別れを告げ、財務省に別れを告げ、ベルシーの財務省の中庭でスピーチを行い、集まった財務省の人々に感謝を述べました。
彼は現在、55歳、彼がなぜ留任を望まなかったのかは、名言はしていませんが、 現在の政権・政治の流れに思うことがあるのは、確かで、ここで、ひとまず、息をつき、彼の最初の職業であった大学教授という職に戻り、今度は、最初に抗議したフランス文学だけではなく、政治や地政学などにおいても教鞭をとり、若い学生たちと議論をたたかわし、異なる場所で未来を担う人々の声を耳を傾けることができることをとても楽しみに感じていると語っています。
彼は、ローザンヌ大学との話が進んでいるとのことで、スイスに永住か?などとの声もありますが、彼自身は、愛するフランスを捨てるつもりはないとのことです。
現在のマクロン大統領、新しく任命されたミシェル・バルニエ首相の築いていこうとしているものがどんなものなのかは、わかりませんが、彼なりの美学を貫いての決断であったような気がしています。
彼が辞任するというニュースを最初に見た時は、「えっ?辞めちゃうの?」と思いつつ、大臣という座にしがみつくことなく、自ら周囲に感謝しつつ、別の道を選んだブルーノ・ル・メール氏をやっぱり素敵な人だったな・・と思ったのでした。
この挨拶を行っている彼の表情は、これまでとは、すでにすっかり変わっている感じで、すっきり、穏やかになっている気がしました。
ブルーノ・ル・メール経済相辞任
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