2021年8月14日土曜日

フランス人と日本食

   

この間、パリのお寿司屋さんで食べたお寿司 シャリは赤酢


 空前の日本食ブームで私がパリに来たばかりの頃(20年くらい前)は、パリで日本食のレストランは珍しい部類で、決まった地域(オペラ界隈)のいわゆる日本人エリアと言われるところに行けば、あるには、あるけど・・という程度で、決してフランス人にとって、日本食は一般的なものではありませんでした。

 それが、ここ10年くらい前から、グングン日本食レストランは増え出して、特に中国人経営のチェーン展開のような、お寿司屋さん(だけど、焼き鳥や餃子なども置いている)がパリ中、どこへ行ってもあるようになりました。

 そのようなお寿司屋?さんは、不思議なもので、キャベツの千切りがちょっと薄甘いドレッシングで和えられたものと、よくここまで細かく切れるな・・と思われるお豆腐がちょっぴり入った薄いお味噌汁、セットメニューだと焼き鳥(と言っても、フランス人が大好きなチーズが挟んであったりする)と握り寿司にもなぜかご飯がついてくる不思議なメニューで、いわゆる一つ一つを食べ切っていく(三角食べをしないということ)フランス人は、サラダ、味噌汁、焼き鳥、お寿司を食べた後に、白いご飯に甘いお醤油をかけて食べたりしています。

 お寿司のわさびは、握り寿司でも、シャリとネタの間にはさまってはおらず、別にお皿の脇に添えられています。

 下手をするとその甘いお醤油をお寿司にも使ったりするので仰天します。この甘いお醤油は、最近では普通のお醤油とともに普通のスーパーマーケットでも売っているようになったほど、フランスでは、人気商品でもあります。

 私は、最近は、パリでは日本人のやっているお寿司屋さんにしか行きませんが(それでさえ、滅多に行かない)、そこにはそこで、妙に通ぶったフランス人がいて、「ほら、ここは、ちゃんとわさびがシャリとネタの間に入っているんだ!」「甘い醤油なんて置いてないぞ!」と講釈を垂れているのを見かけたりすると、「そこ??」と、苦笑いしてしまいます。

 そんな講釈をたれているフランス人が、「マグロ抜きで・・」などと言っているのにも、「マグロを抜いちゃうの??」(内心は、それなら、私にちょうだい!と思っている)とびっくりさせられたりもします。

 まあ、好みですから、そこを突っ込むのもおかしいですが・・。

 なので、これほど日本食ブームとはいえ、フランス人が一体、どこまで本当の日本食の美味しさをわかってくれているかは、ちょっと疑問でもあります。まあ、日本人の私としては、多少アレンジ?されていても、日本食が広まってくれるのは、嬉しいことではあります。

 以前、職場にいた日本人が日本に帰国した際にみんなに買ってきてくれる貴重な日本のお菓子などをフランス人たちが、「セ・パ・マル!(悪くない・・)」などと言いながら、気安く食べる様子に、内心、「この美味しさ、貴重さをわかってないのに、もったいないな・・」とちょっと腹立たしく思ったりしたこともありました。

 家にフランス人を招いたりしても、かなりの食通の人でない限り、これぞ日本食!というものは出さずに、フランス人が好きそうな、どちらかといえば、和食というよりは、日本で言う洋食に近いものにしたりします。もちろん、お米だって、貴重な日本米は使わないケチな私です。

 以前は、フランスでお米といえば、お米のコマーシャルで「このお米は、ベタベタしない!」がキャッチフレーズになるような、どちらかといえば、サラダにして食べるような存在でしたが、お寿司のポピュラー化で、ベタつく?お米も受け入れられるようになりました。

 それでも、いわゆる普通に一般のスーパーマーケットでお寿司用とされているお米と本物の日本米は、比べものになりません。パリでは、日本食材店も結構ありますから、本物の日本米も買うことができます。しかし、高いです。

 なので、最近は、イタリアやスペインで作っている欧州産の日本米を買うことが多いです。それでさえ、普通のスーパーマーケットで買えるお米よりはかなり高めです。

  

スーパーマーケットで売っているお寿司、これで3000円ほど

 ですから、一般的にフランス人が口にすることの多い、今やスーパーマーケットなどで売られるようになったお寿司などは、きっと日本の回転寿司にも遥かに及ばないクォリティなのに、その数倍の値段で、それをフランス人は喜んで買っていきます。

 それに比べれば、日本のフランス料理は、フランスのそれと、そこまで遜色がないように思います。それとも、フランス人からしたら、日本のフランス料理って違う・・と思っているのでしょうか? 

 もっとも、私は、フランスに移住して以来、貴重な一時帰国時に日本でフランス料理を食べることは、まずないので、今なら違うと感じるでしょうか? 

 いずれにしても、日本の食事・レストランのレベルはかなり高く、どこに行っても世界中の料理が色々選べる世界一美味しい国だと私は思うのです。


パリの日本食レストラン


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