2021年8月5日木曜日

フランスと日本のコロナウィルスの感染状況・対策の違い

   


 フランス暮らしも長くなって、色々なトラブルや、物事がスムーズに運ばないことも多い生活で、大抵のことは、「ここはフランスなんだから、仕方ないな・・」と諦めて腹を立てないようにするようにしてきました。

 逆に言えば、「やっぱり日本はスゴいんだな・・」と海外生活をして、あらためて気付くことも多かったし、今もそのように思うことも沢山あります。

 しかし、このところ、パンデミックが起こって以来、殊に世界でワクチン接種が始まり、その上、オリンピックという、とてつもない重荷を背負ってしまった日本の様子を見ていると、なんだか微妙です。

 開発されたばかりの新しいワクチンに対して、慎重に検討を重ねていたのもわからないではありませんが、オリンピックを開催するのならば、せめて、オリンピック開催を理由に早くにワクチン確保する術はあったであろうし、多くの国民が反対する中、このようにオリンピックを結局は、強行開催するならば、せめて、それなりの準備(ワクチン接種の拡大)をして、オリンピックに臨むべきであったはずです。

 オリンピックは、海外から、多くの外国人が入国するだけでなく、結果的に日本国民も「オリンピックだってやってるんだから・・」と若干、開放モードになり、もうやってられない!となっている人もいるかもしれません。

 これまでフランスのようなロックダウンをせずに、あれだけ感染を抑えられてきた日本が、コロナウィルス史上最悪の感染状態(日本での)に陥ってしまっているのは、デルタ変異種の威力もあるでしょうが、これまで、すでに長い間、対策をとって、改善すべき点を(感染者の受け入れる医療体制の強化など)放置し、挙句の果てには、菅首相が「重症患者でなければ、自宅待機」などと言い出すとは・・本当に酷すぎる話です。

 真面目に我慢強く行動制限していた日本国民をいいことに、日本政府の言い続ける「ご理解とご協力」ばかりに頼って感染を抑えられてきたことにも限界があります。

 かえすがえすもワクチンの開始が遅れたことは、残念ではありますが、遅くに開始したことは、百歩譲って、世界のワクチン接種の状況や方法を参考にできるという利点もあったはずなのに、予約方法なども多くの人の手を介し、また、ワクチン接種をした証明書とワクチンパスポートを別物にして、書類申請して作らなければならないという妙なやり方をして、これだけ、ワクチン接種を急いでいる状況で、なぜ、そのような手間暇がかかる方法をを取るのか?まるで意味がわかりません。

 フランスは、反対の声も上がりながらも、ヘルスパスの施行でワクチン接種をしていない人に行動制限をかける方向に進んでいるので、感染者数も増加はしていますが、これだけ好き放題にバカンスに出かけているフランスでも、これでも、ある程度は、感染を抑えられているのだと思います。

 感染者は増加しても重症患者数の増加は、第3波ほどスピードは遅く、ワクチン接種をなんとか進めることを最大目標とし、現在、フランスのコロナウィルス感染に関するサイト(国が作っている感染者追跡アプリ+コロナ関係情報+ヘルスパス)を開くと、まず一番に出てくるのは、感染者数ではなく、ワクチン接種がどれだけ進んだかというパーセンテージが出てきます。

 そして、自分の住んでいる地域と国全体の新規感染者数、集中治療室の占拠率がそれぞれ表示されます。

 日本は、特に地域ごとに対応しているということもあるのでしょうが、まず東京などの大都市の感染者数を追い続け、国全体の数字はわかりにくくなっています。

 一度、動き始めれば、コツコツとこなしていくことは、さすがの日本、1日120〜130万件のワクチン接種が進んでいるようですが、なんといってもフランスの倍も人口の多い日本でワクチン接種率が飛躍的に上昇していくのは、これまたなかなか厳しいものです。

 ましてや、現在の日本の感染増加のスピードにワクチン接種のスピードが追いついていく前にさらに悪化していけば、被害はさらに甚大なものになります。

 しかし、日本国民一人一人の感染対策の取り方は、やはり、フランスなどとは、比べ物にならないほど、優れていると思うので、結局は、国民の方々の「ご理解とご協力」に大きく依存している形になると思います。

 もう少し、効率的な方法をワクチン接種の先陣を切っていた国々を参考にして、上手く始動していれば、日本人の真面目な国民性と合わされば、鬼に金棒だったはずなのに、ひたすら苦悩している様子の日本には、憤りを感じます。

 このバカンスシーズンのフランス人のバカンスを満喫する様子を見るにつけ、彼らは実に楽しそうで、「ご理解とご協力」どころか、ヘルスパスに反対する人は、警察が催涙ガスや放水車を使って出動しなければならないほど騒ぎまくりです。

 我慢に我慢を重ねて耐えている日本人は、オリンピックに何百億円も使いながら、未だに満足にPCR検査もできずに、しかも有料、オリンピックのためにさらに自粛を強いられる生活というどうにも理解し難い状況に疑問を感じるのを通り越しています。

 オリンピックが終わっても、さらにパラリンピックが続き、どの国でも感染悪化が深刻になっている中、日本の状況は、さらに心配が続きます。

 今後もまだまだ長いこと戦っていかなければならないパンデミックに、ワクチンが進んだら進んだで、現在、フランスで揉めているヘルスパスのような問題が生じます。

 これまで私にとって、日本はいつも、誇らしい国であったので、このパンデミック・オリンピック対応を目の当たりにすると、「どうなっちゃったの?日本?」と思わずにはいられません。

 もともと何かあるたびに、大騒ぎして反発するフランス人を導くフランス政府は、もともと国民の「ご理解やご協力」に頼ることは考えておらず、数回のロックダウンに罰則・罰金まで加えて締め付けつつ、援助はかなり手厚く実行し、国民をなだめすかしながら、ここまで進んできましたが、日本は日本で、日本人の真面目さや我慢強さを政府に利用されるという最悪なシナリオにため息も出ません。

 海外にいると、「日本人は黙って我慢するからいけない!」と外国人から言われることも多く、日本人としては、それはそれで美徳と感じる部分もありながら、海外では、黙って我慢ばかりしていては、生きていけないので、海外モードに切り替えて暮らしています。

 しかし、日本で、それを同じ日本人、しかも国を動かす政府に利用される構図は、外から見ていても、我慢ならないことなのです。

 マクロン大統領は、高齢者とリスクの高い人に対しての3回目のワクチン接種を年度初め(9月)から開始することを発表しています。


フランスと日本


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