2021年8月29日日曜日

ヘルスパス反対デモ7週目 地域ごとのワクチン接種率・デモ動員数・感染率は連動している

   


 このヘルスパス反対のデモは当分の間はなくなることはないでしょう。

 ヘルスパスの起用が発表されて以来、ヘルスパスの効力も適用範囲も徐々に拡大されている中、いよいよそれは、来週から、職域にまで(ヘルスパスの提示が求められる場所で働く主に人と接する職業に対してヘルスパスが求められる)及ぶことが決定しており、また、多くの人がバカンスから戻ってきた今、デモが止む理由はありません。

 この職域に及ぶヘルスパスの適用は、ヘルスパスの提示ができなければ、給与が支払われなくなるというかなり厳しいもので、事実上の解雇に近い強行なもので、ヘルスパス(ワクチン接種)反対の人にとっては、生活のかかった深刻な状況に陥ることになります。

 しかし、現在のフランスのワクチン接種率は74.3%にまでなり、ワクチン接種はしても、政府の強行なやり方に反抗している人という層を除けば、デモに参加しているのは、ワクチン未接種の残りの25%程度の人です。(とはいえ、16万人の結構な人出ではありますが・・先週よりも減ってはいます・・)

 つまり、国民の大半はワクチン接種を既に済ませているわけで、ヘルスパスが起用されることが決まった段階で、急激にワクチン接種が進んだだけでも、半ばヘルスパスは成功したとも言えます。

 ここ一週間ほどで、ほんの僅かではありますが、フランスの感染者数は減少傾向にあり、これもまた、ヘルスパス起用の効果が表れ始めたとも言われています。

 とはいえ、このヘルスパス反対のデモは、フランス全土にわたる大掛かりなもので、その動員数は、7週間の間に、地域的にも差が表れ始め、ワクチン接種率が低い地域ほど、デモの動員数が多いという当然ではありながらも、さらに感染の危険を増大するというさらに皮肉な結果を生み始めています。

 つまり、地域ごとによるワクチン接種率とデモの動員数、そして感染者数は、規則的に連動しているわけです。

 特にフランスの南東部では、ヘルスパスに対する反抗勢力が強く見られます。

 これは、単にワクチン接種だけではなく、格差社会における社会への反抗の側面もあります。これらの人々は既に植え付けられている価値観に支配されて、聞く耳を持たず、視点や思考を拡げることができません。

 しかし、政府側は、大半がワクチン接種を進めている現状に、もはやデモはあまり問題視はしておらず、はっきり言えば、「言いたい奴には言わせておけ」という状態で、オリヴィエ・ヴェラン保健相は「ヘルスパスの成功に直面して、抵抗は落ちている」と語り、それがまたデモ隊の反感を買っています。

 とはいえ、8月30日からはヘルスパスの効力が職域にまで拡張されるのに続いて、9月15日には、医療従事者のワクチン接種義務化による問題が再浮上するのは必須、10月には、PCR検査の有料化が待ち構えています。

 このままでいくと、この秋の感染状況も影響してくるとは思いますが、その全てが落ち着く、少なくとも10月末までは、このデモは続くと思われます。

 それにしても、土曜日の度にデモ、街中への外出も躊躇われるし、ましてや、デモ隊が行進する近隣の店舗、商業施設、レストランなどにとっては、とんでもない営業妨害です。

 レストランはともかく、多くの店舗が日曜日には営業しないフランスで、土曜日の営業妨害が続くのは、それこそ大変な損害です。ロックダウンによる閉店には、政府の補償金が支払われていましたが、デモのための補償金が支払われることはありません。

 言いたいこと、抗議したいことを訴える権利は認められるべきだとは思いますが、いいかげん、大概にしてもらいたいものです。


ヘルスパス反対デモ フランス


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