2021年8月6日金曜日

8月9日から、フランス・ヘルスパス本格始動が決定 フランスのヘルスパス詳細

  


 注目されていたヘルスパス(2回のワクチン接種証明書、48時間以内のPCR検査の陰性証明書、6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書)は、7月25日の段階で、国会と上院で採択されていましたが、昨日、憲法評議会の検証により、正式に8月9日から施行されることになりました。

 当日の憲法評議会の前には、抗議する人が大勢、集まっていましたが、いくらあらがおうと、法律として決定してしまったものなのですが、それでも実際に開始される8月9日直前のデモは、相当なものになりそうです。

 しかし、それ以降は、いくら騒ごうとも、これを尊重しなければ、罰せられることになり、人が集まる場所でのある程度の安全が確保される状態になるわけで、私としては、少し安心して出かけられるようになるので、大歓迎です。

 すでに7月21日の段階で、50人以上集まる文化施設、娯楽施設、スポーツジムなどでは、このヘルスパスがないと入場できなくなっていますが、8月9日からは、レストラン・カフェ・バーなどの飲食店や長距離の交通機関、病院などの医療施設、介護施設、一部のコマーシャルセンターなどに範囲が拡大されます。

【レストラン・カフェ等の飲食店】

 レストラン・カフェ・バーなどのオーナーは、顧客に有効なヘルスパスの提示が義務付けられ、テラス席に関しても同様の措置が求められます。この顧客管理が不十分な場合、オーナー(管理者)は行政当局から正式な通知を受け、最大7日間営業停止になる可能性があります。

 45日間で3回以上違反した場合、マネージャーは1年の懲役と9,000ユーロの罰金が課せられます。また、レストラン・カフェ・バーの従業員については、有効なヘルスパスを取得する義務が8月30日に設定されています。バーやレストランのあるホテル、キャンプ、ホリデークラブ利用の顧客に対してもこのヘルスパスによる管理の対象となります。

【交通機関】

 遠距離移動をする飛行機、電車、バスを利用する場合は、ヘルスパスが必要になります。国内線・国際線の飛行機、TGV、都市間を移動する列車、夜行列車などもこの対象となります。パリ郊外のTERなどの列車は、これには含まれていません。

 このチェックを簡易化するために、SNCF(フランス国鉄)は、9月までにヘルスパスを乗客のチケットに統合することを計画中です。旅行中(交通機関での移動中)、ヘルスパスの不携帯が確認された場合は、135ユーロの罰金が課せられます。また、コロナウィルスの検査で陽性となった場合は、SNCFはチケットの払い戻しをすると発表しています。

【病院・医療施設・介護施設】

 病院、医療施設、介護施設、高齢者施設の全てでヘルスパスが適用されます。患者に同伴する家族、病院への面会、定期治療のためにこれらの場所に行く人々にもヘルスパスが求められます。ただし、救急搬送や救急センターについては、ヘルスパスの対象にはなりません。

 医療従事者、病院勤務の職員は、ワクチン接種が義務付けられ、9月15日までに少なくとも1回目のワクチン接種を済ませておく必要があります。

【ショッピングセンター】

 大規模なショッピングセンターについては、基本的には、ヘルスパスの対象とはなっていません。しかし、ショッピングセンターでのヘルスパスの扱いについては、政府は地方自治体の判断に任せているので、地域によっては、感染状況により、知事の判断で、ショッピングセンターでのヘルスパスの管理を課すことがあります。


 すでに一足先にヘルスパスの提示が求められている映画館などでは、このヘルスパス提示が義務付けられて以来、顧客が激減したという例もあり、レストランなどの飲食店等でも、顧客が減少するのではないかと心配しているオーナーも少なくありません。

 また、このヘルスパスのために、PCR検査場が大混雑することも予想され、検査を行っている薬局などでも、この検査への対応にも追われています。必然的に検査数が激増すれば、新規感染者数もうなぎのぼりになるかもしれません。

 一番、厄介なのは、ヘルスパスの項目の一つである「6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書」を獲得するために、「ワクチンパーティー」などという、わざと陽性者と陰性者が集まって、コロナウィルスに感染してヘルスパスを獲得しようとする集まりなども行われていて、本来のワクチン接種拡大とは、真逆の動きをしている若者たちも登場しています。

 また、現在のところは、ワクチン接種証明書は、身分証明書の提示を求められていないこともあり、ワクチン接種証明書の貸し借り、また売買なども登場しています。

 どんな状況においても、隙間を縫うように、反抗して、違反を続ける人はいますが、とりあえず、ウィルスと共存していくための具体的な第一歩を踏み出したフランス、今後、さらに詳細な取り決めや、修正、範囲の拡大などがあるとは思いますが、とにかくロックダウンせずに、パンデミックを乗り切れる道を進み出したことは、喜ばしいことに違いありません。


フランスのヘルスパス


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