新型コロナウィルス感染が急激に悪化し、医療崩壊を起こし、真夏のバカンスシーズンというのに、完全なロックダウン状態になったマルティニークとグアドループに向けて、240名の医療従事者が出発しました。
ワクチン接種率が極端に低いために(21%)これらの地域の感染が急激に悪化し、医療崩壊を起こし、現地の病院が受け入れ不可能な状態で、助かるはずの命が失われていく状況に陥り始め、患者の移送なども行っていましたが、到底、それでは追いつかない事態に発展し、オリヴィエ・ヴェラン保健相がマルティニークとグアドループの危機に直面し、現場の医療チームを支援するために、医療従事者の支援を全国的に連帯・協力を呼びかけたのは、8日(出発2日前)のことでした。
Face à la situation sanitaire en Martinique et en Guadeloupe, j’en appelle à la solidarité nationale pour venir en soutien aux équipes médicales sur place.
— Olivier Véran (@olivierveran) August 8, 2021
➡️ Si vous êtes volontaire : prenez sans délai l’attache de votre établissement ou de votre ARS. pic.twitter.com/Tz2hqxQytp
「もしも、あなたが医療従事者で、救援に行くことができるならば、あなたの働いている病院やARS(Agence régionale de santé・地域保健機関)に申し出てください」
この呼びかけにより、集まった240名の医療従事者がその2日後には、マルティニークとグアドループに向けて旅立って行ったのです。
とかく、個人主義的で、権利ばかりを主張する利己主義に思われがちなフランス人も、いざ本当に危機的状況に陥った人に対しては、意外にも慈愛に満ち、優しく、スゴい行動力で人を助けようとするところがあり、驚かされることがありますが、そんなところは、フランス人の優しい一面でもあります。
もちろん、全ての人が同じではありませんが、何かスイッチが入った時のパワーの凄さ、エネルギッシュな行動力には、目を見張るものがあります。
コロナウィルスとは無関係ですが、以前、我が家が大変、危機的な状況に陥った時、周囲のフランス人の人々が本当に親身になって助けてくれた時には、フランス人の意外な一面を見た思いでした。
昨日、マルティニークへ向けて旅立って行った人の多くは、フランス全土の多くの地域から集まっていて、「依頼を受けてすぐに決断しました。自分たちの同胞を助けるために、私は必要とされています。全く迷いはありませんでした。」と答えています。
依頼があって2日後の出発ですから、迷っている時間はなかったはずです。
この救援に向かった医療従事者の中には、「今こそ、自分のスキルアップができる時」と言っている人もいれば、最近、リタイアしたばかりなので、いつでも協力できる状態だった」と語る医療従事者の夫婦もいました。
この救援隊の派遣は、一応、15日間の予定ですが、現地の状況の変化に応じて、次の救援隊も派遣する準備もしています。
いずれにせよ、彼らのそのエネルギーのベクトルがどこに向かうのかによって、このような緊急の救援に参加したり、逆にデモになったりもするのですが、今回の救援隊の集結は、明らかにフランス人の底力、優しさが見えた危機的状況の中にもどこか暖かい気持ちにさせられる出来事でした。
マルティニーク救援隊
グアドループ救援隊
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