2021年8月22日日曜日

6週間連続ヘルスパス反対デモ 動員数減少傾向 アンチヘルスパスは減っているのか?

  


 マクロン大統領のヘルスパスの発表以来、7月17日から毎週土曜日の「ヘルスパス反対デモ」が6週間続いています。

 しかし、先週あたりから、デモの動員数は減少傾向にあります。

 とはいえ、6回目のデモもフランス全土で200以上のデモ隊が組織され、内務省の発表によると全国で、175,503人がこのデモに参加したと言われています。

 これまでのデモのピークは4回目の8月7日で23万人がデモに参加していましたが、それ以来、2週連続、動員数は減少しています。

 これは、ピーク時の後の2週間は、フランス人が最もバカンスに出ている時期と重なっているための動員減少ということも考えられますが、同時にワクチン接種率が上昇しているためと考えることもできます。

 フランスの現在のワクチン接種率は、70.2%(2回接種済は60.5%)にまでになり、1回でもワクチン接種を済ませている人が2回目のワクチン接種を受けないとは考えづらく、少なくとも70%以上の人がワクチン接種を受け入れていることになります。

 残る30%には、ワクチン接種をできない年齢(12歳以下)の人数も含まれているため、既にかなりの割合に及んでいるわけです。

 ワクチン接種を済ませている人の中にもアンチヘルスパスの人はいないことはありませんが、それはごく限られた割合であり、一般的にワクチン接種を済ませていさえすれば、ヘルスパスの提示はそれほど煩わしいものでもなく、わざわざ反対するには及ばないもので、むしろ、そのことによって自分や周囲の人の安全性がある程度は確保されるのです。

 もう一つの理由(デモの動員人数減少の理由)としては、ワクチン接種がここまで上昇しているにもかかわらず、フランスの感染は悪化し続けている=再び、どんどんヤバい状況になってきているという現状です。

 現在、フランス領マルティニークやグアドループなどでは、深刻な医療崩壊を起こしており、これまでに600人以上の救急支援のための人員が派遣されているものの、もはや第1波を彷彿とさせるような医療崩壊状態で、当然、病床は、全く足りておらず、運ばれてくる患者が入る場所などなく、病院の廊下でさえいっぱいで、病院の前に建てられたテントの下に寝かされている患者で溢れかえっています。

 テレビでは、病院で苦しむ決して高齢でもなく、既往症もなかったはずの若い患者の「コロナを甘く見ていた・・ワクチン接種をしていなかったことを心の底から後悔している・・苦しい・・」などという証言を流し、ワクチン接種の重要性を報道しています。

 ここまで深刻ではなくとも、フランスの南部、特に海岸沿いのバカンスエリアでは、徐々に感染が悪化し、感染状況を示すマップはフランス全土が真っ赤、南部に至っては、黒くなってきていて、102の地域では、7日間で住民10万人あたり50件のアラートレベルを超えるため、赤に分類されています。



 ワクチン接種がここまで進んできたにもかかわらず、これだけ感染状態が悪化し、人々がバカンスから戻り、学校も仕事も再開され、ウィルスも本格的に活発になりうる秋を迎えるのですから、いつまでも、ただただ、ヘルスパス反対!などと言っている場合ではないのです。

 世論調査によると、フランス人の54%は、ヘルスパス反対のデモに反対しているそうで、そのうち、アンチ・アンチヘルスパスのデモが起こるかもしれません。


フランス ヘルスパス反対デモ


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