養豚業界のフランスのトップグループである食肉処理工場クーペル(Breton Cooperl )は、ワクチン接種を受けた従業員に対して200ユーロ(約26,000円)の特別ボーナスを支払うことを発表しました。
フランスで、従業員に対してワクチン接種を奨励するためのボーナスを提供する第1号の会社です。
食肉処理工場では、パンデミック開始以来、フランスだけでなく、ドイツ、アメリカなどでも大きなクラスターが発生してきた環境でもあり、この会社では、7,400人の従業員が働いていますが、そのほとんどがブルターニュ地方を拠点とした食肉処理工場に勤務しています。
この会社の経営陣は、「ワクチン接種を奨励する国民健康予防アプローチに積極的に参加したい」「多くの人にとって、ワクチンを接種するには、仕事、育児などへの負担が必要になるかもしれません。経済的支援を提供することにより、私たちはワクチン接種の負担を軽減することを決定します」と語っています。
これまでの食肉処理工場でのクラスターの発生実績?から見ても、工場内の温度の問題や仕事の性質上からか、よりウィルスが活発化するリスクが検証されており、このデルタ変異種の感染力を考えると、この先も、かなりリスクの高い場所でもあり、一度、工場内で感染拡大、クラスターが発生した場合を考えれば、たちまち、工場が閉鎖を余儀なくされる危険も高く、従業員に対して、ボーナスを支払ってまでワクチン接種を奨励するのは頷けます。
もっとも、現在拡大しているデルタデルタ変異種の感染拡大は、真夏に起こっていることであり、現在のウィルスがどの程度、気温の影響を受けるものであるのかは、わかりません。しかし、真夏でも耐性があるウィルスというだけで、これが実際に気温が低下した場合は、感染力がさらに増すということもありえないことでもありません。
そして、また、このワクチン接種をした人への特別ボーナスについては、所得税がかからない仕組みになっているそうです。
しかし、労働者の権利や主張にうるさいフランスでは、このボーナスに対しても、法的に可能であるか?との意見も一部、出ています。
つまり、従業員に対して、ボーナスの支給は、従業員の勤続年数や労働貢献、報酬に応じて換算されるもので、ワクチン接種者とワクチン未接種者を差別し、未接種者を除外するためとも取られかねないボーナスを認めてよいのか?というわけのわからない意見です。しかし、いかにもフランスでは、出てきそうな差別への抗議、平等などを訴える意見でもあります。
しかし、無料のワクチン接種を受けるだけで、自分自身、周囲の人の安全も保護することができ、その上、ボーナスまでもらえるという会社の提案に大多数の従業員は、好意的に受け取っています。
すでにアメリカでは、このような企業がワクチン接種を受けることを奨励・サポートし、そのための報酬を支払う方法を開始しているようですが、国だけではなく、企業が従業員の安全を守るという形での支援はフランスでは、このクーベル(食肉処理工場)が先陣を切った形となりました。
食肉処理工場というある種、特殊な場所ではありますが、どんな形にせよ、企業が職員のワクチン接種をサポートするという動きは、今後もこれに続くところが出てくるかもしれません。
ワクチン接種ボーナス
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