2021年8月27日金曜日

海外から見ている日本のコロナウィルス対策について

   


 私は、日本人ゆえ、海外に住んでいても、いつも日本の状況は気になり、フランスのニュースとともに、日本のニュースも気にしながら、生活しています。

 ことに、パンデミックが始まってからは、日本とフランスを比較しながら、「こんなところはさすが日本だ!」とか、逆に、「フランスでもできていることが、どうして日本でできないんだろう?」とか思いながら、双方の国を見守っています。

 パンデミックが始まったばかりの昨年の段階では、日本はさすがに衛生的で、規律正しい生活をこれまでの日常から送ってきたこともあり、フランスやヨーロッパのような壊滅的な感染拡大には至らず、フランスのような完全なロックダウンもせずに、パンデミックを乗り切ってきました。

 しかし、パンデミックも長引くに連れ、日本には、オリンピックやパラリンピックという計り知れないハンディを背負い、一般の国民へのコロナ対応に加えて、オリンピック対応にも追われ、力もお金も分散され、国民への感染対策が疎かになってしまった結果が現在の日本の状況を招いているような気がしてなりません。

 オリンピック選手のためには、数日おきにPCR検査がなされていたというのに、未だ国民は高価な料金を支払わなければ検査ができないのも、なんで?おかしいなぁ〜と思います。しっかり検査ができていなければ、日本の感染者数は、実際には、もっと多いのではないか?と思ってしまいます。

 パンデミック当初から、徹底的な検査と隔離が叫ばれてきたのに、まずその根本的なところからして改善されていないのは疑問です。日本では抗体カクテル療法が拡大されていくようですが、その前の段階から、改善できることがありそうな気がします。

 特に最近の日本のニュースを見ていると、その現実が信じ難く、救急車でたらい回しになるとか、必要な人が入院治療を受けられないとか、こんなことが本当に日本で起こっているのだろうか?と、これが本当に日本なの?と信じ難い気持ちです。

 「救急車でのたらい回し」なるものは、フランスでは、病院の状況を統括して、救急車がコントロールされて、配置されるため、いくら医療が逼迫している事態の時でもたらい回しという状況は、起こりませんでした。

 昨年の医療が最も逼迫した時でさえ、いよいよ病院が満床になり、病院の廊下にまで病人に埋め尽くされた後には、病院の前にテントが張られ、野戦病院のようなものができ、地域によっては、病人をTGVや軍用機を使って移送したりしていましたので、ある程度以上の病状の人が入院できずにいるケースは少なかったと思います。

 しかし、それでも病床には限りがあり、呼吸器なども不足していたので、動物病院から呼吸器を運び込んだり、トリアージュを行わなければならない場面もありました。

 そして、何回かのロックダウンを繰り返し、ワクチン接種が進むに従って、ヘルスパスなるものを用いて、ワクチン接種済みの人は、ほぼ日常と変わりない生活がスタートしています。

 日本は、ワクチン接種のスタートが遅かったわりには、さすがに巻き返しが早く、現在、54%(2回接種済は43%)までにワクチン接種率が上がっているようですが、いつまでも緊急事態宣言で全ての人が縛り付けられている様子にも疑問を感じます。

 フランスは、バカンスがスタートする時期にヘルスパスの起用が発表されたために、多くの人が急激にワクチン接種に走り、ワクチン接種率が上がりました。

 日本は特に若年層は、重症化しにくかったり、副反応を恐れてワクチン接種が進みにくいという話が伝わってきています。いつまでも、ワクチン接種をした人も、しない人も同じように制限された生活が続くならば、ワクチン接種をしないでおこうと思う気持ちもわからないではありません。

 ヘルスパスのようなものを起用しているのはフランスだけではありません。ワクチン接種をすれば、かなりの割合で重症化を避けることができるのは、すでに多くの国で実証済みなので、日本もヘルスパス同様のものを起用して、ワクチン接種をしたら、具体的に実際の生活が送りやすくなるというメリットを作るべきではないかと思います。

 ヘルスパスを起用するには、ある程度、ワクチン接種が進んでいなければ無理な話ではありますが、フランスがヘルスパスの起用を発表した段階のワクチン接種率は55%程度の時でした。

 自粛自粛で疲弊して、先の見えない気持ちになっている日本の人々に、ヘルスパスのようなものを起用して、これなら日常を取り戻すことができるという希望が持てるようにすることは、大切なことなのではないか?と思うのです。

 コロナ前までは、「日本では当たり前だったことがフランスでは、決して当たり前ではなかった・・フランスだから、仕方ない・・」と思うことが多かったのですが、ここへ来て、コロナ対応を見ていると、「フランスでは当たり前のように行われていることが、日本ではできていない」ことに、日本人として、現在の日本のコロナ対策の現状に唖然とさせられるようになってきたのです。

 日本ってこんな国ではなかったはずなのに・・と。


日本のコロナ対策 フランスのコロナ対策


<関連記事>

「フランスと日本のコロナウィルスの感染状況・対策の違い」

「日本のワクチンパスポートの不思議」

「コロナウィルス対応 厳しい日本とゆるゆるなフランス」

「フランスでワクチン接種が進んでも感染拡大が止まらない理由」


0 コメント: