フランスの移民法については、長い間、物議を醸し続けていて、以前から、移民が犯罪を犯したりするたびに、この人物は、OQTF(公序良俗を著しく脅かす異常事態に陥った外国人に対して、フランス領土を離れる命令)が発行されていたはずだった・・などという事実が浮上してきたりと、問題視されてきました。
今回の移民法の改正も、主には「治安に対する深刻な脅威となる外国人の排除を促進することを目的」としていますが、正直なところ、私自身も「移民」であり、とばっちりを受けるのではないか?と、あまり心穏やかに聞けるニュースではありません。
特に、今回の改正法の中の基準の一つに、社会保障などの条件についても、外国人でもEU圏内からの場合とEU圏外からの外国人とを区別して規定していたりして、どっきりさせられます。
一方では、内容を見ると、「フランスに長期滞在している人やフランスに個人的・家族的つながりがある人であっても、特に犯罪で法的に有罪判決を受けた外国人の国外追放が認められ、少なくとも懲役10年以上、場合によっては5年の刑が科せられることになる」とか、逆に「今までは違ったの?」と驚く内容のものもあります。
また、排除するばかりではなく、労働力不足の業界(建設や介護など)においては、1 年間の期限付きの「不足している専門職で働く」滞在許可を創設しています。
「不法滞在しているこの業界での労働者は、正規化を要求できるようになり、 この新しいカードは、一定の条件(フランスでの滞在期間が3年以上(不法滞在が3年以上?と思うとなんか変・・)、過去24か月のうち緊張状態にある業界で8か月の経験)のもとで自動的に発行される」などという項目には、はなから不法労働者ありきの法令で、まあ現実的といえば、現実的ですが、なんか、もやもやするところでもあります。
これに加えて、「不法就労と闘うため、非正規な状況で労働者の雇用主に対し、関係する従業員1人当たり最大4000ユーロの行政罰金(再犯の場合は2倍)を新たに課すことになる。 この罰金は既存の刑事および行政制裁に加えられることになる」という項目も付け加えられています。
現在のところ、賛否両論、喧々囂々としているので、今後、修正が加えられるところが出てくる可能性もないではありません。
しかし、これだけ大騒ぎになるというのは、それだけフランスには移民が多いということでもあります。
私にとっては、個人的には、社会保障などの改正が気になるところではあり、必死になって、この法改正されている文面を追っていたのですが、色々と改正、廃止・・などと続いている最後に、「難民・滞在許可証保持者は除外」とあり、そもそも、滞在許可証を持っていない人がどうやって社会保障をこれまで受けてこられたのだろうか?と不思議に思ったりもしました。
毎回、といっても、10年に一度ではありますが、この滞在許可証更新のたびにドキドキし、特に前回の更新の時には、ちょうどロックダウンの時期と重なってしまったために、お役所は、大混乱となり、手続きに異常に時間がかかり、実際には、滞在許可証の期限が切れてしまって、「これでは私は不法滞在者ではないか?」と泣きそうになっていたような小心者の私には、やっぱり全面的に理解することは難しいかもしれません。
しかし、移民の一人である私が言えることではないかもしれませんが、今回の問題も移民が膨れ上がってしまった上での問題でもあり、「最近は、日本も治安が悪くなった・・」などという声もありますが、「いやいや、まだまだ・・あまいあまい・・」と思ってしまうほど、質の悪い移民は多いわけで、容易に受け入れてしまっては、フランスみたいに大変なことになります。
フランス 移民法改正
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